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教育ICT

第5回日本ICT教育アワードで9自治体を表彰~全国ICT教育首長協議会

2022年12月6日

わかりやすい事業名で教員の役割を明確に
■茨城県水戸市 志田晴美教育長

会長賞 茨城県水戸市 志田晴美教育長

会長賞 茨城県水戸市 志田晴美教育長

茨城県水戸市(小学校32校・中学校15校・義務教育学校1)では管理コンソールによると20229月時点で配備された情報端末の9割にあたる約18000台が活用されており、オンライン授業配信も多くの学校で行われている。

本市では役職に応じた役割分担により当事者意識を醸成して推進力を高めた。端末導入開始後は日常化を目指して段階的な到達目標と手立てを設定し、定着年度を設けた。端末活用開始約8か月後には教員の9割以上がステージ1を達成している。

すべての教員が参加できるプロジェクトとして5事業からなる「みんなでGIGAスクールプロジェクト水戸」を実施。GIGAスクールプロジェクトリーダー事業では事例を作成・公開。みんなでつくる実践事例集事業では「水戸市GIGAスクール構想」サイトに誰でも実践を投稿できるようにした。家庭学習等のための端末持ち帰り事業は2021年度に行ったものでコロナ禍に役立った。ICT支援員による校内ミニ研修事業では1コマ30分程度の研修を実施している。

新しい学び方で複式の課題を解消
■大分県玖珠町 梶原敏明教育長

会長賞 大分県玖珠町 梶原敏明教育長

会長賞 大分県玖珠町 梶原敏明教育長

大分県玖珠町(小学校6校・中学校1)の情報端末約1150台は、夏休みを除くほぼ毎日ログインされ、活用されている。ネット環境のない家庭約1割にはSIMカード付端末を貸与。端末も毎日持ち帰っており、大雨や台風、積雪等で登校できない場合にもすぐにオンライン授業ができる。

複式学級のある小規模校同士で遠隔授業も実施。新しい学び方で複式の課題が解消できる。他校と交流ができることは中一ギャップ解消にもつながる。

202010月、玖珠町のミライを作る人材育成会議を立ち上げた。地域や企業、教職員など約50人で構成。街づくりの当事者を増やす試みで「ICT」「自然体験」「郷土教育」「地域可能性探究」を融合し、地域愛を育て地域の可能性等に関心を持つと共に問題解決の手法を身に付ける学びを目指すガイドラインを作成。小学校4年生~中学校3年生を対象にICTジュニアリーダーも育成。1期生54人、2期生26人を年4回指導し、子供のレベルが高まり驚いている。全国ジュニア・ICT・リーダーサミットを20221217日に開催する。

学習eポータルを独自開発
■愛媛県四国中央市 東誠教育長

会長賞 愛媛県西条市 玉井敏久市長

会長賞 愛媛県四国中央市 東誠教育長

愛媛県四国中央市(小学校19校・中学校7)ICTを活用した授業改善に取り組み、短期間で大きく進化。調査によると教員は「個別学習が増えた」「考えや思いを共有する場面が増えた」と考えている。

本市では、独自開発の学習eポータルの仕組みを当初から構築。効率的な運用のためシングルサインオンの仕組みを採用している。

学習のためのプリンターを配備。児童生徒がChromebookから自由に印刷できる環境とした。

オンライン授業は全校全クラスで実施できる。国際交流のほか、朝の会や帰りの会、PTA総会等各種行事をオンラインで行っている。教育への転換を意識して進めている。

不登校対策として、20216月から適応指導教室のICT環境も整備した。

教職員研修も充実。全国で活躍中の講師陣に依頼している。市教委主催の研修会のほか、ICT関連の民間資格の取得も支援。Google認定教育者レベル12及び認定トレーナーは現在10人。ロイロ認定ティーチャーは117名と全国最多である。

児童生徒のチャレンジを促す発展的な学習の場の提供も支援。プログラミングを競う国際大会等各種大会への参加を推奨したり、中学生が指導する小学校4~6年生向けプログラミング教室を展開。事例共有の場として「GIGAスクール通信」「私の授業案」等をWebに公表。ジュニアICTリーダーは各校2名、ICT係は各学級1名いる。

デジタル・シティズンシップ教育への転換も図る。11月以降にオンライン授業を2小学校・1中学校で実施予定。保護者含む全市民対象の市民講座も開催を予定。

小規模校の課題を前向きに解決できる
■鹿児島県垂水市 坂元裕人教育長

会長賞 鹿児島県垂水市 坂元裕人教育長

会長賞 鹿児島県垂水市 坂元裕人教育長

鹿児島県垂水市(小学校7校・中学校1)ではすべての小学生が1中学校に入学する。このうち4小学校が複式教育を実施。GIGAスクール構想は、複式が多い小さな自治体のためにこそ大きな意味がある。

複式教育では、子供が主体的に進め、困ったときに教員が支援する形式だ。ここにGIGA端末が役に立つ。子供が主役の授業とし、授業改善と業務改善を一体的に推進。「持ち帰り前提」の端末整備、AIドリルの導入・活用、生活面まで広げた活用、遠隔合同授業の4本柱で学力向上と働き方改革に前向きに取り組んでいる。

端末持ち帰りも、家庭と連携した学びとするため、目的をもって取り組んでいる。貸し出し用Wi-Fiルータ(4GLTE回線)は現在55台用意している。

子供はもちろん、教員も取り残さないことが重要だ。市民会館に、学校に導入されたAIドリル等を地域市民も体験できるコーナーを設置した。保護者・地域市民向け教育講演会も実施。約200人が参加した。20232月には子供の学びの成果発表と共に第2回の開催を予定している。小さな自治体だからこそやりやすいことがある。

市の広報誌「TARUMIZI」では毎月GIGAの取組を掲載。各学校の特徴を生かす目標を立てて共有している。情報端末活用ルールはすべての家庭からアイデアを募って集約し、20213月に策定。実践率は85%だ。生徒手帳も電子化。これはMicrosoftTeamsを活用したが好評だ。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年12月5日号掲載

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