先進ICT教育に取り組んでいる首長によるシンポジウム「未来を担う子供のためにNEXT GIGAを考える」にはアワード受賞自治体と文部科学省初等中等教育局学校デジタル化プロジェクトチームリーダー武藤久慶氏、協議会理事が登壇した。
小中学校において端末は、非常時のみ持ち帰りで、日常的に行っていない自治体が多いようだ。端末活用に手間はかかるかもしれないがそれ以上にメリットがあることを周知したい。この1、2年が勝負と考えている。次の端末更新のフェーズ前に様々な課題を解決したい。
探究的な学習はICTを使うと様々な教科で何度も繰り返すことができる。好事例も多く報告されている。ある学校では授業はデフォルトでオンライン中継しており、実物投影機を外部カメラとして使用し、児童生徒用端末に配信。一斉提示画面ではよく見えない子も手元の端末で見えるようになった。中学校英語でAI機能により音読採点を行っている取組や、自動採点機能を使って採点時間を大幅に短縮した事例もある。
地理の学習では、帯広で菓子作りがなぜ盛んなのかについて考えたり、国語「調べて話そう」で、自分の疑問を調査・グラフ化している取組もある。
全国の首長にお願いしたいことは、様々な格差が生じている状況を是正すること。ICT支援員については4校につき1人の地方交付税予算措置がある(達成しているのは東京都、佐賀県、熊本県のみ)。これを達成しないかぎり予算増は難しい。
GIGA関連予算は次年度予算を大幅拡充して要求しており、そのうち100億円以上を今年度補正に前倒ししている。持続的に取り組み発展するためには外部人材の活用が重要と考え、特にアドバイザー事業を拡大している。15か月予算と考えて計画を進めてほしい。
大阪府枚方市(小学校44校・中学校19校)ではLTEの情報端末(iPad)を活用。小中学校ともに全国平均以上の活用率で、学校の取組や操作マニュアル、トラブル対応等をWebに随時発信しており約20万アクセスがある。また、月2回の会議で全校の担当者がオンラインで情報交換を行っている。
愛媛県西条市(小学校25校・中学校10校)では他の基礎自治体に先駆け2015年度より全教室に電子黒板を整備するとともにバーチャルクラスルームを設置して遠隔合同授業を可能とし、教員のテレワーク環境も構築。2018年の日本ICT教育アワードを受賞している。その後の取組として、2020年度、1人1台端末を全校に約8300台を、教職員用・予備端末約770台を配備した。
独自に校務環境を、Azureを使ってフルクラウド化。2022年にはオンプレミスを廃止してフルクラウド環境に移行。ICTを使った不登校対策 や、校内サポートルームを設置。加配教員とICT支援員によりオンライン授業やオンデマンド授業を行っている。また、適応指導教室2か所にWi-Fi環境整備。今後は教員のスキルアップと子供の学びの習慣化に取り組む。
埼玉県久喜市(小学校21校・中学校10校)では、今年度から新部署としてGIGAスクール推進室を設置した。大規模校には複数回線を配置。電子黒板は全普通教室に配備し、特別教室配備は今年度から行っている。
児童生徒用端末はChromebook。教員用はWindowsPCだが、授業者用として児童生徒と同様にChromebookも配備して2台を使い分けている。
オンライン教育は日常化。ハイブリッド環境で行っている。今年度は中学校に久喜市オンライン分教室を設置して登校が困難な生徒の学習機会を確保する。
AIドリルも活用し指導の個別化と学習の個性化に取り組んでいる。
今年度よりSTEAM教材を予算化。各種教材(アーテックロボ、ドローン、アイロボット、3Dプリンター、マイスクリーン等)を学校に輪番で貸し出すGIGAスクールLab事業を開始した。地域や企業等と連携したPBL学習や各教科においても単元のまとまりごとにPBL化を図る。企業連携ではGoogleや理想科学工業、Amazon、withiRobot社など。
校務の効率化も進行中。GoogleWorkspace上でデータ連携に取り組み統合型校務支援システムをフルクラウド化。ゼロトラスト環境の構築を進める。