「初めて使う生徒でもログインから課題制作・提出まで最初の時間ですべてできた」「辞書や便覧を調べ、デジタルノートに張り付けることができ、個別学習の充実につながる」「経過が蓄積されるので事後評価に役立つ」等の声が全国の高等学校から届いているICT学習アプリ「ClassPad.net」(カシオ計算機)。新学習指導要領で求められている「子供が主体的に学び取る」学習にどう役立つのか。これまでのICT活用経験の有無により活用方法は異なるのか。導入校がオンラインで8~9月に報告。一部を紹介する。
生徒会とSDGs委員会を担当。どちらも生徒の主体的な活動にクラウドや情報端末、各種ツールを活用している。情報端末は高等学校入学時に配布している。
高等学校1年国語「羅生門」では「初めて読む人に対して意味段落ごとに1枚のスライドで表現する」課題を出した。ClassPad.net上に「羅生門」「課題提出」フォルダを作成してここに提出。提出もドラッグするだけで簡単だ。
便利だったのが、全体で共有する際に「氏名を隠して一覧表示」できる機能だ。クラスメイトの課題提出状況は一覧でわかり、しかし名前はわからないため、提出に躊躇する生徒が減り、話し合いもしやすくなった。提出遅延は赤字で表記されるので課題も管理しやすい。
直感的で使いやすく、すぐに活用することができるため、初めて授業でClassPad.netを使った日、全員が課題を作成し、提出できた。今後は課題提出や発表資料蓄積の場として活用していきたいと考えている。辞書と一体化しているメリットも大きい。国語から活用を始めたが、今後、他教科にも活用を広げる。
本校は、在校生のほぼ全員が大学進学を目指す進学校だ。実証実験等を経て今年度からBYOD(あっせん販売あり、持ち込み端末も可)が始まっており、PC室でしか行えなかった情報の授業をBYOD端末で行えるようになった。紙のワークシートやGoogleフォーム、jamboardを活用していたが、さっと使えて、配布したワークシート等に手書きもできる書き込みツールが欲しいと考えていた。
そこでClassPad.netを活用。ふせんには手書き文字を入力でき、それをテキスト変換することもできる。ピクトグラムの授業ではラフスケッチを各生徒が本ツール上でまとめ、回収・一斉表示・共有した。一覧表示ができるので評価もしやすかった。また、Googleアカウントによるシングルサインオンですぐに活用できる。教科や教科ごとのノート作成が他ツールよりも簡単である点もメリットであると感じた。
2019年からAL・情報管理部責任者としてICT教育に取り組んでいる。LTEモデルの端末(iPad)は現在は高校1・2年生が活用。様々なツールや教材も活用しており、「授業充実期」が始まろうとするところ。これを支援するツールとしてClassPad.netを選択した。
双方向授業支援アプリもいろいろあり、それぞれの良さは理解しているが、本校の文系科目担当の教員は「言葉をもっと知ってほしい、そのため辞書や便覧で調べやすくしたい」、理系科目の教員は「数式・図形をわかりやすく表示できるものが欲しい」、さらに多くの教員が「アカウントを増やしたくない」と考えており、ClassPad.netの「様々な辞書・事典を端末1台で使える」「数式や図形を教員も生徒も扱える」点が決め手になった。
保護者も、様々な辞書や事典等を別々に購入するよりもオールインワンで提供し、子供が熱心にそれを使い込む方が納得する。生徒はClassPad.net上で様々な辞書・事典等で調べ、すぐにノート上にまとめており、即時性がある。他社ツールと大きく違うと感じている。
コロナ禍で電子黒板やWi-Fi、Web会議システム、1人1台情報端末等様々な整備が急速に進んだ。現在は電子黒板中心の活用から始めており、情報端末活用はこれから。ClassPad.netは6月に導入した。これまでは入学時に辞書、国語便覧等を購入していたが、ClassPad.netで一本化した方が日常的に触れる機会が増え、端末活用を推進しやすいと考えた。調べたことをデジタルノート上に、写真や音声、動画、統計情報、手書きメモ等すべて蓄積することができる。また、CNN Worksheetでは英語の再生速度も選択できる。
教員による教材配付も、個別でも一斉でもワンクリックでできるので、授業展開が大きく変わると考えている。現在、一部の教科・科目で運用を始めたところである。
数学嫌い克服のため「予習」「授業」「復習」のサイクルを確立したいと考えてClassPad.netの提出ボックスを利用。提出状況を互いに確認でき、学習意欲向上につながっている。提出時間もわかり、時間に遅れると赤く表示されるので管理にも役立つ。
さらにそれぞれの単元のつながりの理解を図るため、毎時間「まとめデザイン」を1人ひとり作成している。これは、例えば「一次不等式」を、直感的な言葉や図式等で各自がまとめるもの。数学の言語化により理解を深めたいと考えた。まず予習時に作成して提出。授業終了後、修正して再提出し、互いに紹介し合っている。これをすべてClassPad.net上で行っている。
英語学習への意欲が低い生徒に対する興味訴求にもClassPad.netを利用。「re」「pre」等接頭辞に注目して1人1種類を担当し、ClassPad.net上の辞書で担当の接頭辞を持つ単語を調べてデジタルノートにまとめ、同じ接頭辞を調べた生徒同士で共有して単語を暗記。次に、異なる接頭辞を調べた生徒同士で共有して暗記し、クイズ形式でどれくらい暗記したかを確認している。
本校は今年度の高校1年生から情報端末(Chromebook)を購入させており、高2・3年は共用の情報端末(Chromebook/iPad)を活用。
現在、推薦等進路が決まった3年生の「数Ⅲ」で、より深く数学を学ぶ目的でClassPad.netを活用しているところだ。
課題や入試問題をClassPad.net上に配信。生徒は協働しながら解答し、教え合ったり、解答を見て添削し合ったりしている。本ツールにより話し合いが活性化した。
デジタル・アナログの融合として、生徒各自が問題を解いたノートやプリントをClassPad.netのカメラ機能で撮影し、教員に提出。それを大画面提示装置に投影し、本ツールの「編集機能」を使って書き込みながら解説している。
当初は「これまで通りの方が早い」と思うこともあったが、軌道に乗ると効率化されていく。有能なアプリは多いが、数学ツールの取り扱いと課題提出・配信・回収・書き込みを同時にできる点にメリットを感じている。
教員は大量のノートを集め、点検に追われている。さらに今年度から始まった学習指導要領により見取るものが増えた。従来の方法のままでは時間不足が加速すると考え、ClassPad.netの導入を決めた。
英語「論理表現Ⅰ」では、単元ごとのゴールライティングをClassPad.net上で提出させている。教員は提出順に見て添削し、ルーブリックを用いた評価を戻す。記録として残るので事後の評価材料として利用できる。英文の量が増えるなど生徒も確実に変化している。迅速に教員のフィードバックができ、密なやり取りが可能になったためではないかと考えている。
美術の活用は画期的だ。作品の下絵、色塗り、仕上げ等段階ごとに写真を撮影してすべてClassPad.net上に蓄積。質問やアドバイスのやりとりもでき、それも蓄積できるので、事後の観点別評価に役立っている。全体で共有して講評しやすくなり、オンラインでも学びを継続できる。
理科でもClassPad.net上でPDFのワークシートを生徒に配布。生徒はデジタルペン等を使って手書きで書き込み、提出している。
各教科のClassPad.net担当が事例を共有。今後は探究的な学びでも活用したい。
アプリ内で次の機能をすべて活用・完結できる。1人あたり3台まで端末を接続できるので学校の端末、家庭の端末、スマートフォン等で学習を継続できる。
「ClassPad.net」の教科別活用法など事例を紹介、随時拡充している。
基本機能(デジタルノート機能・数学ツール・授業支援機能)を2023年3月まで活用できるトライアル版を提供。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年10月3日号掲載