教育ICT

タブレット補償サービスで「つい」「うっかり」に対応～清泉小学校

2022年9月7日

塩谷教諭

鈴木教諭

古園教諭

児童生徒1人1台端末が全国の公立小中学校にほぼ配備され、私立小中学校や高等学校にも広がっている。端末を個人購入する場合も、公費購入・貸与とする場合も、避けられないのが端末の不具合や故障だ。その都度修理に出したり、学校設置者が補償に加入したり等、設置者規模により異なる状況にある。文部科学省では今夏、端末の持ち帰りを推奨したこともあり、休み明けに想定外の不具合や故障もありそうだ。タブレットPC補償サービスを導入している清泉小学校(神奈川県・有阪奈保子校長)の塩谷浩二教諭(ICTアニメーター責任者)、古園隆司教諭(6学年主任・前ICTアニメーター責任者)、鈴木功教諭(視聴覚担当・ICTアニメーター)に同校の端末活用と本サービス導入のメリットを聞いた。

鎌倉幕府の跡地にある清泉小学校(有阪奈保子校長・神奈川県)は、教科の枠にとらわれない総合学習に力を入れており、知的好奇心を学びの中心に据えた活動が特色だ。2017年度、児童用に80台の共用端末(iPad)配備後、2020年度より3年生が、2021年度より2年生が端末を購入することとし、現在は2~5年生が個人所有の端末を、6年生が学校貸与の端末を活用している。端末数が増えたこと、保護者負担となったことから同校では、端末導入時に在学期間中のタブレットPC補償サービスに加入。安心して端末活用を推進できるという。

全学年で端末活用

高学年でロボットプログラミング

低学年も端末をほぼ毎日活用

同校ではICT指導計画をICTアニメーター(ICT推進チーム)が策定しており、全学年で「プログラミング」「情報モラル」「調査・発表」「基本的操作」に取り組んでいる。

「調査・発表」では、模造紙による朝の会での発表から始まり、調べ学習やクリスマスの集い、修学旅行でのグループ発表等に端末を活用。

プログラミングは、1年生からアンプラグドと複数のビジュアルプログラミングを体験。紙芝居やルーレット等のプログラミングを経てキーボード練習を3年生で集中的に行い、4年生で人型ロボットのプログラミング、5年生で正多角形のプログラミングを日本語と英語で行う。6年生では算数と理科で統計的な内容を学ぶ計画だ。

端末持ち帰りは、スクリーンタイムで使用時間を確認し、学年や時期により休止時間や使用可能アプリを設定するなど調整しつつ行っている。

補償サービスで故障端末を修理

個人端末導入と同時に導入したタブレットPC補償サービス「Dr.たもつくん」は、日本国内で販売されている端末メーカーの故障について、修理出来ない場合も新品交換するなどすべて補償(詳細後述)するサービスだ。導入理由について「小学生は学校生活の中で『つい』『うっかり』落としてしまったり、乱雑に扱ったつもりがなくても壊してしまったりすることがある。端末についても同様と考えて導入した。端末の購入から初期設定、事後対応等をNTTラーニングシステムズ(株)に委託しており、『Dr.たもつくん』も同社のサービスの1つ」と話す。

2020年度から現在までの2年弱で不具合が起こった端末は5件。うち2件は端末内部の不具合、3件は端末落下等によるガラス面の破損や本体の変形で、いずれも本サービスにより新品の端末と無償交換となった。

「端末修理や買い替えは高額で、家庭には負担。児童の取り扱いにより端末が破損した場合、児童の心理的なストレスも大きい。本サービスの導入により、家庭や保護者、児童への負担軽減や安心感につながり、端末を思い切り活用することができる」と話した。