GIGAスクール構想後の活用期・発展期でのポイントの1つが、児童生徒が1人1台端末を家庭に持ち帰り、家庭学習で有効に活用できるようにすることである。
鹿児島市(原之園哲哉教育長)の学校では、GIGAスクール構想で整備された情報端末を児童生徒が家庭に持ち帰り、家庭学習と授業をつなぐ取組が進められている。以前から教育の情報化を推進してきた鹿児島市は、GIGAスクール構想後の活用期や発展期として、学校改革にいち早く取り組んでいる。
鹿児島市立星峯西小学校(谷口源太郎校長)では、情報端末の持ち帰りの基本的な学習過程を教員間で共通理解して学校全体で取り組んでいる。例えば、児童が家庭で予想した回答を教師へ返信し、結果が授業前に自動集約され、授業の中でグラフ化されて提示される。このような情報端末を用いた家庭学習を支えるポイントとして、オンラインでの児童集会や朝会など、学校での取組を日常的・持続的に進めている点が挙げられる。
鹿児島市立桜峰小学校(大迫誠校長)では、情報端末持ち帰りを予習型授業として進めている。そのベースとなるのが、ICTとクラウドサービスを活用した校内研修である。担当教員が研究授業を録画し、動画配信サービスにアップロード。教職員は空き時間に動画を視聴してWebアンケートに感想や意見を回答する。その後に教職員間の協議の場を設けることで、授業者の省察や感想や意見の集約に余裕ができ、研修を効率的に進めることができる。
鹿児島市のように、授業活用だけでなく、授業と家庭学習で子供の学び全体をとらえ、GIGAスクール構想後のICT活用を「学校改革のトリガー」として取り組む自治体がこれから増えていく。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年7月4日号掲載