堀田 みなさんキャッチコピーのように表現するのが上手になってきました。
山内 「新しいチャンス」です。
川崎市とGIGA端末の導入で学びが量的質的にどう変わってきたのかを研究しています。顕著なのが、GIGA配備以後、様々な年代の教員が端末を使うようになったことです。
これまでは得意な人だけが活用するものでしたが、様々な人が活用することで、新しいことが偶発的に生まれやすい環境になりました。これをぜひ新しいチャンスと捉えてもらいたいですね。
堀田 これまでのICT活用のスタイルを乗り越える可能性があります。
越塚 「端末はパーソナルなもの。そもそも個人向け」です。これをシェアしていたことに無理がありました。真に個人のものになると、個に応じてインターフェイスや内容を適応させることができ、かつそれをクラウドで教員が集約できる、という点が重要です。
高橋 これまでと決定的に違う「新しい方法を手に入れた」ことです。一斉伝達のための手段ではなく教員の手を離れ子供に道具が渡りました。
加えてクラウド活用が状況を複雑にしています。クラウド活用以前と以後では端末の活用方法がまったく異なります。クラウド活用の良さに納得している教員は楽しく進めています。
堀田 クラウドを活用する社会が当たり前であることを教員が納得するためには何から始めれば良いと思いますか。
高橋 校務や業務で連絡やコミュニケーション等に万能文房具として端末とクラウドを利用することです。授業研究もカメラで撮影してチャットで意見交換する、Googleマップのストリートビューで通学路を確認・危険の可能性を検討するなど様々なことを体験できると良いですね。Googleマップやチャットを使用禁止にしている教育委員会もありますが、このような体験は、仕事改善のきっかけにもなるはずです。
堀田 私たちはコミュニケーションツールを日常的に使っており、それにより様々な人とつながり情報交換しながら仕事を進めており、ないと困るツールになりました。
山内 禁止したい気持ちも理解できないわけではありませんがコントロールは可能です。前向きに考えた方が良いと思います。学生のSNS等のやりとりから、思考の流れや新しい情報のやりとりがよくわかります。教員同士も同様です。そのメリットは大きいと感じます。
越塚 10年前、息子が中学生だった時ですが、LINEでつながり教え合って試験勉強を行っていました。ネガティブなことは乗り越えること、新しいことにチャレンジすることは重要です。
堀田 携帯電話が禁止される施策がしばらく続いたように、何か悪いことが起きるに違いないという意識が新しい文化を阻む可能性があります。子供は大抵、最初のうちは困ったことをするものです。適切な使い方を示して生産的なコミュニケーションを行えるようにすることはこれまでも、道徳などでやってきたことです。