ビジネス・ブレークスルー大学(以下BBT大学)は、日本初の100%オンラインで経営管理修士(MBA)が取得できる経営系専門職大学院として、2005年に開学した。10年には経営学部を設置。22年2月現在、修士課程は1462名の修了生を、学士課程は618名の卒業生をそれぞれ輩出している。
学士課程のカリキュラムは経営・デジタル技術・英語コミュニケーション・リーダーシップを中心として、今までの常識が通じない答えのない時代、デジタル化が急激に進む時代に活躍できる力が得られるように構成されている。
同学を運営するのは、株式会社ビジネス・ブレークスルー。経営コンサルタントの大前研一氏がグローバル環境で活躍できる人材の育成を目的として1998年に設立。大学、大学院、起業家養成プログラム、ビジネス英語、経営者向け勉強会など、多彩な教育プログラムを提供している。
オンラインで教育が展開されているBBT大学は、教育現場のDXが進んでおり、日々大量の学習履歴データが発生。それを適切な学生支援を行い続けるためには日常的に大量のデータと向き合い、横断的かつ多角的に状況を分析し続ける必要がある。人間の処理能力を超える大量のデータ処理は大きな負担となっていた。
同時に、データの増加により、分析頻度の減少や分析範囲の縮小傾向による適切な支援タイミングの喪失、データ分析の属人化などといった「情報のオーバーフロー現象」が新たな課題となる可能性があった。
そこで、AI・データサイエンティストのプラットフォームを運営する株式会社SIGNATEと共同で、教務AI「BioLa」を開発した。
BioLaがこれまでBBT大学に蓄積してきた過去16年分の学習データを機械学習することで、学生一人ひとりの学習状況を分析して課題解決の支援を行う。2021年度にテスト運用を行い、22年度から本格運用していく。
BioLaは、学生の授業への出席状況、学習リアクション(他の学生の発言に対する「いいね!」、講義映像へのフィードバックなど)、演習課題や試験の点数などといった要素を、AIを用いて解析。学生がつまずきやすいタイミングとその原因の推定、カリキュラム改善、講義の改善等につなげる。このままのペースで卒業できそうかどうかの早期予測も可能になる。
BBT大学副学長の宇田左近氏は「本学の学びでは学生同士、あるいは教員と学生の双方向のコミュニケーションをベースに、常に『自分だったらどうするか』が問われ、まわりの学生や教員から建設的なフィードバックを受けながら成長する機会があり、学生の入学前と卒業後で明らかな変化(デルタ)があります。一人ひとりが自分のキャリアを切り開き、そしてこのデルタを自信として、自分の求める夢を実現してもらいたいと考えています」と話す。
BioLaの活用によって、学生の夢の実現をさらにサポートしていく考えだ。(蓬田修一)
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年4月4日号掲載