文部科学省のヒアリングによると、47都道府県すべての高等学校でGIGA端末配備が予定されている。導入方法も教育委員会予算やBYOD、BYADと様々だ。高等学校では新年度より「情報Ⅰ」が必修となり、探究の時間では教科連携が求められている。そんな中、カシオ計算機は、様々なOSで活用できる学習プラットフォーム「ClassPad.net」の提供を9月から開始した。β版は既に約600校で活用されている。その特徴を教育BU関数戦略部ICTビジネス開発室の浅沼知也氏に聞いた。
高等学校での1人1台端末配備が加速し、主体的で協働的な学びが求められており、端末導入後の授業活用の準備が始まります。高等学校では教科担任制ということもあり、様々な教科で様々なツールが活用されており、連携が難しいという課題があります。そこでカシオ計算機では、これまで高等学校の学びに寄与してきた「電子辞書コンテンツ」と「数学ツール」、さらにそれを自由に活用できる「デジタルノート」をトータルで提供できる総合学習プラットフォーム「ClassPad.net」を提案しています。様々な授業での円滑な連携を目標に開発したものです。
高等学校の端末選択においてOSを自由としている教育委員会もありますが「ClassPad.net」は、生徒や教員のOSが混在(※)していても同時に活用することができ、BYODに対応できる環境を提供します(※WindowsOS、ChromeOS、MacOS、iPadOS、Android、iPhone)。
高等学校では新年度から「情報Ⅰ」が必須となります。「探究」を始め、すべての教科で「データ活用」が求められています。そのためには、数値を集め、それをグラフ化して読み取ったり予測したり表現する活動が必須となります。「ClassPad.net」では「数学ツール」を使ってデータ収集・グラフ整形ができますので、様々な教科で自在なデータ活用が可能です。
数学ツールは、カシオ計算機がグローバルに展開している「関数電卓」をWeb上で活用できるようにしたものです。世界各国の中学高等学校で活用されており、中には小学校から活用している国もあります。
良質な辞書コンテンツも弊社の強みです。高等学校向け電子辞書としての人気が高いEX-Wordから厳選した国語や英語の各種辞書・事典コンテンツのほか、山川の各種用語集、CNNのリスニング教材など大手出版社7社と連携しており、6教科22コンテンツを利用できます。2022年4月からは、各校の環境に合わせて一部コンテンツの選択をできるようにしました。
インターネット上の情報は信頼性に懸念がある一方で「ClassPad.net」は様々な領域の良質なコンテンツを備えており、高校生の「自学」を促すことに役立つと考えています。
教員と生徒のやりとりや生徒同士の討議を促し、オンライン授業にも対応できる授業支援機能も提供しています。課題の送受信、生徒の解答の一覧確認などの教員用機能のほか、授業の中で生徒の解答を一覧表示でき、話し合いを促すことができます。
オンラインで活用できるデジタルノートは、これらすべての機能を活用できます。さらにテキスト入力、画像、PDF、URLリンクもすべてデジタルノート上にまとめることができ、辞書・参考書を立ち上げて調べ、引用することもできます。その日の学習をデジタルノートにまとめる、調べもの学習、調べた情報の整理・分析・まとめや生活面での活用も考えられます。
「ClassPad.net」を活用している高等学校の教員を招いたオンラインセミナーを定期的に実施しています。また、教科ごとの活用事例もWebで紹介、随時更新しています。
2022年4月より、小学校向け・中学校向けコンテンツを提供します。小学校向け「ベーシックプラン」は、英和辞典、和英辞典、国語辞典、漢字辞典を提供。「スタンダードプラン」は、ベーシックプランのコンテンツに加え、百科事典コンテンツ(キッズジャポニカ)を提供します。
中学校では学習の基本となる英和辞典と国語辞典を提供。いずれも小中学校のうちに親しんでおくべき良質なコンテンツです。わからない単語はすぐに辞書で調べることができ、学びの自走を促すことに寄与できると考えています。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年3月7日号掲載