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教育ICT

端末活用1年間で全校が「日常化」 隣の先進校を徹底的に「真似る」 春日井市教育委員会

2022年3月8日

良い実践はすぐに真似る
【坂下中学校】

小さな一歩を継続
平井和彦教頭

まず教員が端末やクラウドの良さ、便利さを実感することから始めた。その後、生徒が考えを共有し合い、繰り返し学習ができる良さを実感するようになり、端末やクラウドの良さが広がっていった。とにかく一歩を踏み出すことが重要なのだと感じた。苦手な人も含め全員の一歩をがんばっているところだ。小さな一歩の継続が日常的な授業改善となる。

同じ方向を向いて協働する
伊藤唯史教諭

たとえ低い山であっても、体力づくりをしながら計画・装備しルートを把握して登る必要がある。本校の11台端末活用も同様に、低い山を何度も繰り返し登り、気付いたら良い場所にたどりついていた、というイメージで進めている。ICTGIGA環境を上手く活用しながら、よい授業ができる幸せを実感し、同じ方向を向いて協働する文化を醸成できる教師集団となること、全校での日常的な授業改善により授業や学校全体の質の向上を目指している。

■生徒の学びの実態から生徒像を描く

合言葉は「NNT」「TTP」だ。「NNT」は「慣れる、慣れる、とにかく慣れる」、「TTP」は「徹底的にぱくる」である。朝夕の「スクールライフノート」への書き込みやオンライン朝会、スプレッドシートによる振り返り、学習シートをGoogleClassroomに配信して振り返る等、市内の取組で良いと思ったものはすぐに真似た。

年度当初に生徒の実態を把握した上で、本校で目指す生徒像を「学びを自分ごととして捉え、主体的に学び続けられる生徒」として共有。「自分」と「まわり」の柱と校内授業研究会を軸とする年間構想イメージ図を4月に作成し、日常的に各教科で授業改善に取り組み、教科担任制の魅力を発揮できるような端末活用を目指している。

■主体的・協働的な活動や取組が増えた

実践の繰り返しに伴い、生徒は課題に対して主体的に活動するようになり、自分で掘り下げて調べたり、他教科と関連させてまとめたり、学びの蓄積を説明したり、役割を分担し合ったり、自作のテストを作成してチャットで質問し合うなど、主体的・協働的な取組が見られるようになった。

教職員も変わりつつある。年間3回の校内授業研究会を軸に互いの授業を見合う機会も設け、日常的な授業改善について話し合う機会が増えた。

今後は、生徒の主体性が発揮される課題設定についてさらに検討し、個別最適な学びと協働的な学びを、教科を超えて行うために整理していく。

一方通行の授業から生徒自身が学ぶ形に
東京学芸大学 登本洋子准教授

取組を進めたいがどこから着手すれば良いのかと迷っている学校は、ぜひ坂下中を参考にしてほしい。

掲げられている研究テーマとサブテーマ「自分の考えを持ち、生涯にわたって主体的に学び続けられる生徒の育成~自分を見つめ自ら学習を整えるとともに、協働的な学びを実現できる授業実践を通して~」がとても良い。目指す生徒像を明確にしつつ、そこに情報端末の良さを活かそうとしている。

高い山ではなく低い山を繰り返し登ろうと共有している点も良い。

4月の時点で「学ぶことが好きか」という質問に対して「まあまあ」の層が約5割。「あまり」「ぜんぜん」好きではない、を選択した生徒の理由は「自分で考えたり判断したりすることが苦手」「学習を楽しいと思わない」であった。学習する理由や目的も「進路受験」「将来不安なく生きる」等の回答が多い。同校ではこの改善を目標とした。日常的な授業改善を意識したことで「どんな場面で活用すればよいのか」について、教員同士の話し合いが増え、「まずやってみよう」と教員も楽しみながら取り組んだ。すると教員からの一方通行の授業から生徒自身が学ぶ形になっていった。生徒は端末活用により、挙手ではかなわなかった「自分の考え」を表す生徒が増え、対話が増え、楽しさを感じると共に課題に対する主体的な活動が見られるようになった。共有が容易であることから授業時間や事務の削減にもつながっていた。

学校の日々の様子もWebで保護者にもわかりやすく発信している。

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