小中学校においてオンライン英会話の取組事例が拡がりつつある。1月号では茨城県守谷市教育委員会がオンライン英会話を通常授業に導入した事例を紹介した。今回は千葉県八千代市教育委員会がALT派遣事業を利用してハイブリッド展開している事例だ。八千代市のALT派遣を担う事業者は、通常派遣に加え、「密を避ける」英語活動として、学級担任や英語専科教員とも連携しながらオンライン授業を提供している。両市に共通している点は、アクティビティやパフォーマンステスト等、従来の授業にオンライン英会話を取り入れている点である。
八千代市はじめ県内13市町(※)及び千葉県立学校にALTを派遣しているハートコーポレイションは今年度、八千代市立小学校において、希望制でオンラインブレンディッド授業(以下、オンライン授業)を提供している。このオンライン授業には、市内全22校のうち9校が挑戦している。
八千代市立勝田台南小学校(田中陽子校長)では今年度、5年生で2回、6年生で4回オンライン授業を実施。主に英語のアクティビティに取り入れる計画だ。オンライン授業は2回目という5年2組の様子を取材した。授業者は英語専科の本好利彰教諭とALTのZoe先生で、8名のALTがオンラインで参加した。
この日のオンライン授業はこれまでの学習ユニット4~6のアクティビティとしての位置づけだ。
児童はこれまでに学んだ「地図を使って場所を説明する」、「おすすめを紹介する」英語表現を使ったアクティビティに挑戦する。
予め複数の「おすすめ料理」のプレゼンカードを作成しており、そのカードを情報端末上で任意の友達に送り合って、互いを知るきっかけとした。おすすめ料理の内容は児童のオリジナルで、から揚げやスパゲティ、フレンチトースト、抹茶ラテ、ドーナツなど様々だ。
本好教諭は全体で「自己評価のポイント」を確認。その後、まずは隣同士で練習してからオンラインでALTと1対1でやりとりした。
画面の向こうのALTの「レストランの場所はどこ?」という質問に、児童は地図を使って場所を説明する。次に、メニューのカードを情報端末で示し、特におすすめしたい料理とその理由を伝えた。ALTは注文したい料理を児童に伝え、児童はその料理の合計金額を伝える、というやりとりだ。
オンラインで参加したALTは通常から小中学校に派遣されていて日本の児童に慣れており、大きな声でゆっくり発音するなど、児童の緊張をほぐそうとしていた。
決められたグループ内で順番に1人ずつALTと対話する。オンライン上でやりとりされた会話はそれぞれ録画されているが、1端末にグループ全員の録画が蓄積されている。全員の録画が終わった後は、1人ひとりの録画を見て、良かったところ、修正したいところなどを話し合いながら振り返りシートに記入した。グループはメンバー構成に配慮されている。
児童に聞くと、1回目は6月に行っており、そのときは自己紹介で、3人同時にALTと会話したという。1対1でのオンライン対話は今回が初。ある児童は「わからないとき友達に聞けないので緊張した」と話した。
本好教諭は、コロナによりペア活動を取り入れにくくなったことから、ALTを活かして新しい活動をスタート。
「全員同時にオンライン対話するのではなく、グループごとに行ったのは、グループとしての活動を確保するため。オンライン授業はJETプログラムでは成立しにくい挑戦で、柔軟な対応は民間企業の強みであると感じる。録画内容を見て事後評価をすることもできる。端末操作に慣れるにつれ、児童主体でできることを増やしていきたい」と話した。
※八千代市、浦安市、千葉市、松戸市、柏市、印西市、富里市、山武市、東金市、茂原市、富津市、館山市、芝山町
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年2月7日号掲載