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教育ICT

非認知能力育成を支援 2022年度から新コース設置~十文字中学・高等学校

2022年2月8日

十文字中学・高等学校
横尾康治校長

2022年度に100周年を迎える十文字中学・高等学校(東京都)は、非認知能力(コンピテンシー)育成を視野に、2022年度より4年生(高校1年生)で新コースをスタート。非認知能力も評価する仕組みも導入する。新コース設置の目的と特徴について横尾康治校長に聞いた。

 学びたいことを自ら学び、発信できる力を生徒に育成したいとかねてより考えていた。自らの興味を極めるという強い思いは、自分の人生の主軸となり、社会貢献にもつながる。

本校のある生徒は、ミュージカル等に興味を持っていた。自分の興味を追求し、舞台表現について深めたいと考え、早稲田大学建築学科に合格した。また、スイーツに興味を持った生徒は様々な角度で研究、行動し、その研究成果を携えて慶応義塾大学SFCに合格。さらに在学中に起業もし、大学院に進み、社会に出て活躍している。

大学入試も、総合型選抜入試など新しい入試形態により、こういった生徒の力が認められ始めている。高等学校には新たに「探究の時間」が設置された。今を機運と捉え、リベラルアーツを中心とする非認知能力育成を根底としたコースの検討を約1年前に開始。一定数の支持を得て準備を進め、2022年度よりスタートを切る。この取組は本校の建学の精神――身をきたへ 心きたへて 世の中に たちてかひある 人と生きなむ――自分自身の生きがいを持ち、自分の力で世の中の役に立てる女性を育てたい――に一層迫るものであると考えている。

■探究の時間を週4時間設置

新コースは3つ。これまでの進路選択は学力ベースであったが、自分にどのような学び方があっているのかに照準を合わせてコースを選択できるようにした。

「自己発信コース」では、探究の時間を週4時間設置して教科横断型の学習を展開する。さらにリサーチ・討議・プレゼンテーションなどの各種スキルを育成する時間を週1時間設置。文科省の示す「探究の時間」は週1~2時間であることから、一歩先を進む新しい挑戦となる。

「リベラルアーツコース」は、1年次に基本を学び、2年次より幅広く選択科目を選んで学ぶ。

「特選(人文・理数)コース」は、上位難関大学進学を目指し、演習を重視して展開する。

■非認知能力を評価する

「自己発信コース」では、非認知能力も評価する。当初、この評価測定方法が課題であった。

そこで出会ったのが「EdvPath」だ。年間4回、情報端末上で50の質問に回答することで、自己肯定感やモチベーション、挑戦するマインドやEQ(感情をコントロールする力)等、生徒1人ひとりの状態を可視化でき、各生徒についてのレポートや教員へのサポートプラン、コーチングプランも掲出される。基本の設問に加え、イベントの前後で教育効果を測定する等オリジナルの質問も追加できる。

今後育成したい生徒像に「EdⅴPath」の評価や分析が指標になると考え、導入する方向で準備を進めている。既に本コースの中心メンバーには説明済で、新コースで活用したい、と同意を得ている。

非認知能力がどう育まれているのかを知ることは生徒にとっても教員にとっても重要で、これを育成できる学校が今、望まれている。データとして見える化ができ、効果を提示できれば今後、他コースや他学年への教育にも生かすことができると考えている。

■高等学校はBYOD

本校では全普通教室に電子黒板を設置しており、中学校はChromebookを配備。高等学校は今年度から完全BYODとした。保護者説明会では、授業で必要とされる最低限の機能を持つ、持ち運びしやすい機種を紹介するとともに、生徒のやりたいことに合わせた選択も可能であることを伝えた。WindowsOSChromeOSいずれも可としたが、今年度はWindowsOSを選択する生徒が多かった。次年度もBYODは継続。既に生徒は日常的に活用しているが、自己発信コースでは一層の活用が期待できると考えている。

学習意欲を分析・改善プランを提案

EdⅴPathとは

EdⅴPathは、生徒の学習意欲への問題点を解決し、「生きる力」を育むために開発されたクラウドサービスだ。

生徒が意欲的に学ぶために必要とされる非認知能力として9つのトピック(下表)を設定。独自アンケートでそれぞれの生徒の課題を把握し、それに対応した探究学習カリキュラム(1コマ50×35コマ)や、AIを活用したコーチングプランを提供する。生徒の進捗を個別で確認でき、改善が図られたかどうかもリアルタイムで確認できる。

学力テスト(偏差値)との相関関係もわかり、学校単位、クラス単位、生徒単位での分析も可能だ。

EdⅴPathを提供しているEdv Futureの担当者は「人材マネジメントを担当していた当初、EQによる評価を通して、社会に出て活躍できる人には、学歴とは別にいくつかの特徴的な力があると感じていた。その力は、見える化し、顕在化することで、さらに伸ばすことができる。その育成を促したり、評価したりする仕組みを学びの場に提供したいと考えて開発した。当初は分析機能のみを提供していたが、その後、学校現場での活用を基に、分析レポート等の掲出が可能になった」と話す。導入校も増えているという。

EdⅴPath」新機能提供に伴い、現在、初期費用無料キャンペーンを実施中だ。詳細=「エデュパス」で検索

▼問合せ=EdvFuture株式会社 ℡05053731252

非認知能力を計測する9つのトピック

▼自己理解▼社会/他者理解▼責任ある意思決定▼セルフマネジメント▼対人関係スキル▼度胸▼復元力▼自発性▼執念

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年2月7日号掲載

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