米国や欧州を中心に教育が進んでいるデジタル・シティズンシップの理念を日本に紹介し、学校活用についてのアドバイスも行っている豊福晋平准教授(国際大学GLOCOM主幹研究員)は、学校現場の教員と協力しながら、日本発のデジタル・シティズンシップ教材を開発している。3月中に未来の教室STEAMライブラリー(経済産業省)に公開予定だ。
豊福氏は本教材開発の経緯について「米国の教材を利用している学校も既にあるが、広くデジタル・シティズンシップ教育を浸透するためには日本を想定した教材があった方が良い。特に低学年のケアを丁寧に行うことが重要。規律を守るために禁止事項をインプットする内容ではなく、年齢に応じた課題について、前向きにICTを活用して社会に関わる気持ちを育むことで規律にもつながるように意図している。正解探しではなく、ジレンマを伴う課題と向き合う姿勢も育みたい。これまでの情報モラル教育は『インターネットは学校にとっての厄介事であり必要最小限の活用にとどめたい』というスタンスであった。デジタル・シティズンシップ教育はそれとは異なる。ICTは既に子供の日常。ポジティブで創造的に活用しつつリスクを回避できる力を育むことが目的」と話す。
公開予定の動画は9本(小学校低学年向け、中高学年向け、中高生向け、教職員・保護者向け)。指導案やワークシートも開発予定。無料で利用できる。
▼STEAMライブラリー=https://www.steam-library.go.jp/
高校生を想定した「デジタル時代の著作権を考える―豊かな文化を支える制度とは」(全11講座)は公開済。制作は国際大学GLOCOM・NHKエンタープライズ。
▼デジタル時代の著作権を考える-豊かな文化を支える制度とは=https://www.steam-library.go.jp/content/4
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2022年2月7日号掲載