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教育ICT

小4から「探究の時間」設置 高学年はゼミ形式で様々な課題を設定

2021年12月7日

川原田校長

天野教諭

2020年度より、新しい教育活動「探究の時間」をスタートした相模女子大学小学部(川原田康文校長・神奈川県)では4~6年生全員が情報端末(iPad)を所持し、プログラミング学習やSTREAM教育(STEAM+Robot)に取り組んでいる。川原田校長と「探究の時間」を担当した天野悟司教諭にそのきっかけと成果を聞いた。

「探究の時間」スタートの理由

姉妹校であるシナルマスワールドアカデミー(インドネシア)の子供たちは、6年生から、自らテーマを決めて研究し、11年生でその研究成果を発表します。大学入試では、その研究成果とIBの成績が求められます。

また、日本でも高等学校で「総合的な探究の時間」が設置され、かつ様々な科目で「探究」前提の学習が始まります。これは、大学入試にも密接に関わる学びです。

そこで、本校でも探究的な学びのスタイルを早期にスタートすることで「将来を生きる子どもにとって価値ある力」を育みたいと考え、昨年度は4~6年生で「探究の時間」をスタートしました。

NDCに基づき13ゼミに分類

情報活用能力は、1人ひとりが情報端末を活用しつつ探究のプロセスを繰り返すことで資質能力として身に付きます。そこで「研究の時間」は、単なる調べ学習ではなく、総合的な学習の時間とも異なる新しい時間としたいと考え、4年生は担任が担当しますが、56年生は少人数のゼミ形式としました。テーマを各自で設定し、そのテーマを図書のNDC(日本十進分類法)に基づき、13のゼミに所属します。NDCに基づいたグループ分けをすることで、インターネットだけではなく図書館も積極的に利用するようにしたいと考えました。

「探究週間」で集中的に練り上げる

探究の時間は、火曜日の6時間目に55分間設定し、12学期末に計9日間の「探究週間」を設け、集中的に取材をしたり、見学に行ったりしています。またゼミ内で中間報告をし、質問し合ってブラッシュアップし、調査・研究をまとめ、深める時間としています。

児童の研究テーマはユニークで「どうしたら朝早く起きるのが大変ではなくなるのか」「野菜を食べずに生きていくのは無理なのか」「トキワ荘になぜ漫画家が集まったのか」「新型コロナウイルスのようなパンデミックは起きたことがあったのか」等、子供の個性が光ります。

56年生で各自の研究テーマが決まった際にはそれらを公開し、全校の保護者に協力を募っています。昨年度は子供のテーマに添ってプロの漫画家や声優、サッカー選手の紹介や天体観測施設、清掃工場等の紹介など、様々な保護者の協力がありました。コロナ禍の病院で医療従事者にインタビューをした児童もいます。

3学期末は発表会です。昨年度の成果発表会に参加した保護者は「子供の説明スライドが素晴らしい」「自信や自立につながった」と好評で、6年生の保護者からは、もっと低学年から取り組みたかった、と残念がる声も届きました。

情報端末活用が「探究」の下支えに

6年生に実施したアンケートから、「探究の時間」により、わからないことに対して好奇心を持てるようになった、自ら取り組む力がついた、自信がついた等、自己肯定感の高まりがみられました。

「探究の時間」は、これまでの情報端末活用やSTREAM教育が下支えになっています。

また、探究の時間の設定をきっかけに、各教科でも「探究」の視点が入った活動も始まっています。

情報端末を渡すとき、「iPad21世紀のはさみ(使い方次第で便利なものにも危険なものにもなる)であり、自分の創造をかきたてたり伸ばしたりするための活用をしてほしい」と伝えました。ロイロノートやGoogleアカウントも配備しており、自分たちで会議を設定したり、一緒に宿題に取り組んだりしています。

現在は小学校4年生から情報端末活用を始めていますが、2022年度からは小学校3年生以上は個人購入で、12年は学校が貸与する運用となります。また、CBT導入を視野に個人購入の端末はキーボード付きとしています。

子供の活用が進む一方で、教員の活用は追いついていませんでしたが、それを一気に変えたのがコロナ禍による休校でした。オンライン授業など様々なことにトライする教員が増えました。当初はオンデマンド教材とプリント教材をClassroom上で配信していましたが、休校が長びくにつれ「子供の顔が見たい」と、子供の顔を電子黒板に全員映して授業をする教員もいました。

9月の休校時には、朝の学活はリアルで行い、時間割をクリックするとオンデマンド授業が始まるようにしました。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年12月6日号掲載

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