大阪市立小学校4校、中学校1校、小中連携校1校、大阪府立高等学校1校、計7校で各3~4授業を公開。今回の特徴は、事前に収録・編集した授業をオンラインで視聴でき、かつ参加者は指定された期間であればすべての授業を視聴できる点だ。編集にもオンラインならではの工夫が見られ、複数授業を40分間に編集している学校や、授業の解説や子供の反応をテロップで補足している学校もあった。
1年保健体育「武道」を公開。体育館の大画面スクリーンには「空手」の模範演技を大きく提示し、生徒はそれを見ながら演技。音楽に合わせており、既に集団美がある。教員は、生徒を見てまわりながら個別にアドバイスしている。
体育館には、複数の情報端末を録画用に設置してあり、グループごとに端末を囲んで自分たちの演技と模範演技を比べ、どこを修正すればよいかを話し合っていた。話し合いの時間は短く、素早く演技に戻っている。
授業者は音楽に合わせて空手の型を作り、空手を知らない生徒も楽しく取り組めるようにした。大画面の模範演技は反転させて提示し、生徒が迷わないようにした。運動量確保のため、情報端末操作がスムーズに進むように、模範動画はMicrosoftTeams上からアクセスできるようにした。グループ練習で端末に録画して振り返る際はスロー再生や停止もでき、自分や仲間の課題を発見する力、発見したことを整理して伝える力の育成につながる。また、自ら取り組む意識も高まり、主体性の育成につながる。日常的に端末操作に慣れていることは、スムーズな授業展開に重要。毎時間、フォームズに『うまくできなかったこと』『話し合いで決まったことを実行した結果』等を入力しており、教員用画面で一覧表示して確認でき、次の時間の授業づくりに生かしている」と話した。
同校指導教諭の豊田教授は「ICT活用により短時間で演技がレベルアップしていた。細かい指示がなくても生徒はスムーズに操作していた。これは『情報活用能力を発揮』している場面。視聴・比較・話し合いは『情報活用能力を育む』活動。この書き分けは重要で、情報活用能力育成を意識した授業案になっていた。大量のデータをどう活かすのかが今後の課題」とコメントした。
2年国語「ことばで絵を伝えよう」の単元で、「お絵かきクイズ大会をしよう」を公開。同校の児童も日常的にICTを活用しており、基本操作を習熟している。
1時間目の「お絵かきクイズ」では、教員の出題したクイズを各自の端末に書き込んだ。一斉画面表示で比較すると、描かれた絵はバラバラであり、2時間目は「どのような説明であればわかりやすく伝えることができるのか」を考え、順序を表す言葉、様子を表す言葉をまとめた。
3時間目は自分が考えた「お絵かきクイズ」をペアの児童に出題。一方が言葉で伝え、もう一方が紙に描き、最後に正解を示す。その様子は情報端末で録画する。録画後、二人でイヤホンスプリッター(イヤホンジャックを同時に5人まで差し込むことができるアダプター)を使って、ペアで一緒に動画を見ながら振り返り、話し合った。
授業者は「録画後、すぐに動画を見て良かった点、改善点をすぐに話し合うことができ、児童同士で活発に話し合いが進んだ。何度も撮影することで前回と比較でき、上達を実感することができた」と話した。
1年社会と情報「職業についてプレゼンテーション」全7時間の授業と生徒の振り返りを編集して公開。「プレゼン6枚」「1分半」「すべてのプレゼンに文字を入力してから編集」と決めて作成し、ルーブリックも示した。授業者は「1人1台端末の導入により他教科でもプレゼンテーションする機会が増えた。今後は情報に関する職業に特化した内容としたい」とコメントした。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年12月6日号掲載