宮嶋貴憲氏(専門員)と糠塚一彦氏(ICT教育スーパーバイザー)は「コロナ禍にオンライン授業を全員が経験したことで、1人1台端末の可能性を実感できた。クラウド活用によるコミュニケーションが増え、子供の笑顔も増えている」と報告。
草津市教育委員会(小学校14校・中学校6校)ではこれまで電子黒板を全普通教室に配備し、情報端末(Windows)を3学級につき1セットの割合で配備して「草津型アクティブ・ラーニング」に取り組んできた。
GIGA配備では、2020年度に1人1台配備を完了し「New草津型アクティブ・ラーニング」「GIGAスクール草津スタイル」構築に取り組んでいる。
情報端末は「いつも手元に」「いつ・どのように使うか学習者が選択する」「学習した内容をデジタルで蓄積する」ための文房具であり、教員の役割はオーガナイザーである。
モデル授業も検討し、小学校では実施済。中学校は現在実施中。モデル授業で児童生徒が活用したICTスキルを明確にし、成果も整理。市内全教職員の限定サイトで授業記録や学習指導案、教材などのデータを共有している。
環境整備については、2020年10月までに、持ち運び設置であった無線APを常設化。教育ネットワークも更新し、大容量規格対応機器に変更した。1人1台端末は小中学校とも11月までに配備を完了。教職員用も年度内に配備。オンライン学習システムの利用を2小学校でスタートした。
教育情報化リーダー研修会は年7回実施。1部と2部があり、1部は各校の研修の交流とブラッシュアップで、2部は3つのチーム「オンライン授業」「New草津型アクティブ・ラーニング」「プログラミング」に分かれて協議。ICT教育スーパーバイザーやスキルアップアドバイザーによる訪問指導も受けている。
新転任者研修、市初任者研修、プログラミング研修、指導研修、各校の要望に基づくミニ研修など各種研修を実施。
情報端末持ち帰りは月1回実施。それ以外は学校長判断で柔軟に対応。家庭ではオフライン運用が中心だが今後は家庭でのオンライン活用を検討する。それと共に文部科学省事業「オンライン学習システムの活用」及び「学習者デジタル教科書実証事業」の参加を予定。教員のICT活用指導力を高める研修や支援体制の充実、校務の情報化を通じた業務負担の軽減、情報セキュリティマネジメントの推進、情報活用能力の育成、情報モラルの推進に取り組む。
矢野昌之氏は「小学校1年生から中学校3年生まで、予想以上にスムーズに情報端末を楽しく活用しており、教員の経験年数に関わらず、創意工夫が見られる。児童生徒活用については、写真を写して説明する等簡単なことから始め、次第に意見交流が増えていく」と報告。
2020年度に学校情報化先進地域に認定されたうきは市教育委員会(小学校7校・中学校2校)では2014年度より大型提示装置やデジタル教科書等の配備を開始。2019年度から協働学習支援ツールの活用を始め、ネットワークも改修。GIGA配備を迎え、教室用無線LANを新設。ICT支援員の配置も1校あたり年間10~12回に増やし、オンライン学習にも取り組んだ。2021年度に策定したうきは市教育情報化推進計画は3年計画とし、学校の要望に応えるため2021年度からはICT支援員を2名、市で雇用している。
教員研修はかねてよりきめ細かく実施してきたが、GIGA配備に伴い2021年度は習熟度別で実技研修を実施。研修の考え方として、「1~2つを徹底的に研修」することとしている。
プログラミング学習は各学年10時間程度の学習計画を策定。
オンライン学習は、オンデマンド型とリアルタイム型それぞれの流れを示して進めた。今後は各学校でオンライン学習や情報モラル教育を含め保護者への周知を図る。また、不登校傾向にある校内相談室登校の子供を対象に、リアルタイムの授業配信を拡大する考えだ。