経済産業省は10月5日、第1回 デジタル関連部活支援の在り方に関する検討会を開催。座長は鹿野利春教授(京都精華大学メディア表現学部)。2050年時点の生産年齢人口は2021年現在、高校生以下が約3分の2を占めることから、中学・高校など学校内でデジタル技術に高い関心・能力を有する子供達が活動するデジタル関連部活を支援することが重要であると考え、「デジタル関連の部活動(以下「デジタル関連部活」)において体系的・効果的にデジタル人材を育成する仕組みについて検討する。デジタル関連の部活とは「情報研究」「プログラミング」「アプリ開発」「ロボット」「アートサイエンス」「eスポーツ」等に取り組む、パソコン部やプログラミング部、ロボット部等。
トップクラスのエンジニアは、小学校高学年から中学生頃にプログラミングを始めた人が多い。また、プログラミングを始めたきっかけの3分の1が、中高のパソコン部や大学の講義だ(Preferred Network 社内アンケート調査)。
現在、パソコン部を設置しているのは、中学校13・8%、高等学校33・1%(平成29年度運動部活動等に関する実態調査報告書)で、中学校約1400校、高等学校約1613校にパソコン部がある試算だ。また、高等専門学校(国立51校、公立3校、私立3校)にはデジタル分野の課外活動が多く、各種コンテストに積極的に参加している。
一方でデジタル関連部活には、高体連や高文連等にあたる存在がない。そこで本検討会では、産業界を中心に、デジタル関連部活のニーズを踏まえた支援(指導・助言、活動に使う機材・教材等の提供等)を実施し、活動範囲を拡充させ、生徒のデジタルスキル向上等を図ることを考えている。野球に「甲子園」があるように全国大会をデジタル関連部活にも根付かせ、アウトプットする機会の充実を図り、デジタルスキル全体を底上げ。デジタル人材不足の解決に取り組む。
委員からは、デジタル関連部活の高文連参加のための仕組みつくりが提案された。
また、多様な才の集まりとなり得るデジタル関連部活にふさわしい指導者確保のためには産学連携や地域人材の確保が不可欠であり、そのための社会的な仕組み作りが必須であるという意見も出た。
本検討会では以後、各WGを設置して下記4事項について討議する。▼若年層のデジタル人材育成分野においてデジタル関連部活の支援は、どのような役割を果たすか ▼デジタル関連部活を産業界が中心となって持続的に支援するためにどのような仕組み等が必要か ▼デジタル関連部活に所属する生徒のモチベーションを維持・向上するために有効な目標の在り方(大会・コンテスト) ▼デジタル関連部活のジェンダーバランス確保のための仕組み等
デジタル関連部活へのヒアリング・アンケートも行い、中間とりまとめ案は12月に、提言(最終案)は3月にまとめる。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年11月1日号掲載