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教育ICT

学校教育情報化推進計画、年度内に作成

2021年10月4日

教育の情報化の推進が法制化された(2019年6月「学校教育の情報化の推進に関する法律」が公布・施行)。今後、学校教育の情報化の推進を妨げる行為は「法律違反」となる。これに伴い、学校教育の情報化の推進を図るため、「学校教育情報化推進計画」策定に向けて討議する。学校教育情報化推進会議が設置され、その下部組織として9月9日、第1回学校教育情報化推進専門家会議が開催された。「学校教育の情報化の推進に関する法律」第8条等に基づき関係行政機関が一堂に会し、学校教育の情報化の総合的・一体的・効果的な推進を図る。「学校教育情報化推進計画」は今年度中に策定を予定。

会議では各委員が、「学校教育情報化推進計画」策定に向けて討議。11台端末で問題なく接続できるネットワーク環境、子供主体の活用を想定した端末活用の具体策、ルールの考え方等について整理。本推進計画は、各設置者・各校の推進計画の基になる。

堀田龍也委員・座長代理(東北大学大学院教授)は「GIGA端末が多くの学校で使われている。ネットワークが止まる、クラウドツールの動きが悪い等、帯域不足が様々な自治体で生じている。今後はSINET6の拡張も強く推進する必要があるものの、現実的になるのは数年先。GIGA配備による情報端末はすでに利活用がスタートしており、各自治体がネットワーク基盤の相当な増強を図ることは急務。本来、教育環境の整備は設置者の責任」と、ネットワーク配備について、早急の設置者対応の必要性を指摘。「PCは子供の学びを広げるというイメージを持ちきれない学校現場も多く、使わないためのルール作りに熱心な傾向がある。これを変えることが重要」と話した。

森田充委員(つくば市教育委員会教育長)は、つくば市で進めている「つくば市シームレス教育」について「オンラインで行う場合、ネットワーク環境に左右される。急ぎローカルブレイクアウト構成とし、1G回線を配備したが、リモートで仕事をしている家庭も多く、地域の接続の影響を受けている。遠足や校外学習の際にも接続できる公的WiFiの配備も期待したい」と指摘。また、ルール作成について「必要以上に制限しようとするルールを作る傾向がある。日常的な端末活用に、課題は必ず出てくるもの。課題が出たときが教育のチャンスであると考えるべき。端末を使うのではなく、自律的な学習者のためのスキルを育成するという意識が重要」と意見。

また、「GIGA配備による進展はあるが、ネットワークが快適に使えないという現実がある。区独自で学習者用デジタル教科書の実証事業を行っているが、予算がかかりすぎて理解が得られにくい。1人の児童生徒が複数教科を担う実証も必要。初等中等教育専用の高速ネットワークと共に、快適に稼働するデジタル教科書クラウドの可能性を期待したい」「計画が実現するために関係者の役割を明記することが重要」という指摘もあった。

國香真紀子委員(富山市立芝園小学校校長)は、「自分の興味関心に応じたプロジェクト学習を本校でも取り入れており、学習基盤としてのICT導入により、飛躍的に情報活用能力を育成しやすいという手応えを感じている。プロジェクト学習では、どんな力を育成できているのかを教員がすべて把握することは困難で、児童自ら振り返る力が重要。個別最適な学びを踏まえると担任以外の教員も端末を持ち、児童の学びを把握できることが望ましい」と意見。

橋本幸三委員(京都府教育委員会教育長)によると、京都府でも、GIGA端末は予想を上回る活用が進んでいる。「まずは使ってみようという段階で、授業効果を考えた利活用はこれからであるが、各学校は校内研修に尽力しており、短時間でも頻繁に行う研修の方が、効果が上がっているようだ。端末の持ち帰りについても徐々に始まりつつある。子供の指導への不安や通信環境、家庭の実態により、持ち帰りを歓迎しない家庭もあり、学校だけでできないこともある。家庭や地域のインフラについては財政力により差が生じないように、省庁横断した取組を期待したい。将来に向けた大きなビジョンと共に3年間程度のスモールステップで確実な推進を目指すべきでは」と発言。

横尾俊彦委員(佐賀県多久市長)は、「本市では義務教育学校全3校にICT支援員を配備し、教員のテレワークも行っている。校長のリーダーシップは重要であると考え、校長研修を充実している。コロナ禍で数名休んでいるが、授業の遅れは見られない」と報告した。

船津康次委員(一般社団法人新経済連盟教育改革プロジェクトチーム・リーダー)は企業の立場から「ICT導入期にうまく活用できないのは企業も同様。まずは業務の見直しから始めている。学校も、校務のICT推進がキーになるのではないか。校務を整理し、ヘルプデスク等、アウトソーシングを進めることが考えられる」と提案。

学校教育情報化推進法(基本理念)第三条(抜粋)

▼各教科等の指導等において、情報及び情報手段を主体的に選択し、及びこれを活用する能力の体系的な育成その他の知識及び技能の習 得等が効果的に図られるよう行われなければならない。▼デジタル教科書その他のデジタル教材を活用した学習その他の情報通信技術を活用した学習とデジタル教材以外の教材を活用した学習、体験学習等とを適切に組み合わせること等により、多様な方法による学習が推進されるよう行われなければならない。▼全ての児童生徒が、その家庭の経済的な状況、居住する地域、障害の有無等にかかわらず、等しく、学校教育の情報化の恵沢を享受し、教育の機会均等が 図られるよう行われなければならない。▼学校事務の効率化により、学校の教職員の負担が軽減され、児童生徒に対する教育の充実が図られるよう行われなければならない。▼児童生徒による情報通信技術の利用が児童生徒の健康、生活等に 及ぼす影響に十分配慮して行われなければならない。▼児童生徒等の個人情報の適正な取扱い及びサイバーセキュリティの確保を図りつつ行われなければならない。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年10月4日号掲載

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