GIGAスクール構想によって、公立小中学校が1人1台の情報端末が整備され、複数で1台の情報端末を共用して使っていた頃とどのように異なるのだろうか。それは、児童生徒1人ひとりに同じ経験をさせ、学習の基盤となるスキルを確実に定着させることである。
福岡県田川市では2020年度から、市内の中学生全員が情報端末を活用してプレゼンテーションして、その出来映えを競い合うプレゼンテーション大会をスタートさせた。吉栁啓二教育長は、プレゼンテーション能力はこれからの社会で必要な能力であり、早い段階から全員のスキルアップを図ることが重要であると語る。
写真は、昨年度の生徒総会の様子である。各中学校の代表が、新中学校の制服について自分たちの考えをプレゼンテーション形式で発表した。
生徒への指導にあたって、まず教員のプレゼンテーション力の向上を図る取組を展開した。本市アドバイザーであるインテル株式会社の竹元賢治氏から助言を受けながら、ワークショップ形式の研修会を開催した。学校代表として参加した教員は、その後、各学校に戻って、研修内容を全教員に伝えるようにして、教員の指導力向上を図った。
田川市教委の石井雄二課長補佐は、「教員のプレゼン力がアップしたことで、中学生へのICT活用の指導も充実し、子供たちが表現豊かに発表できた」と語る。今年度は、小学生が夏休みに考えたアイディアをプレゼンテーションする場を市内全体で設けている。
1人1台の情報端末環境は、児童生徒全員に同様のICT活用を経験させ、確実に指導できる。そして、そのことが長期的・将来的に必要な資質能力の育成を図ることにつながると考える。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年9月6日号掲載