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教育ICT

アートで社会的な課題を解決する~TURN 茶会 国立新美術館で8月9日まで

2021年8月2日

“茶室”で多様な人々と協働・創造

STEAM教育を探究的に進めていくことが求められている。児童生徒が自ら課題を見つけるためのアイデアや発想をどう支援すれば良いのか、協働的な学びを創造的な学びにつなげるにはどうするか、教員も悩むところだろう。そのヒントになるものが「Art」ではないだろうか。アーティストの作品は、絵画や彫刻のような実体物とは限らない。ワークショップやプロジェクト、さらにアーティストの感性や行為もまた「作品」だ。作品は、膨大な時間の集積である。国立新美術館(東京都港区)企画展示室2Eで「TURN茶会~地球・人をアートで問う」が8月9日まで行われている。「和」を素材に多様な人と交流し、協働・創造する本取組は「探究的な学び」「STEAM教育」を進めるヒントになりそうだ。

■監修は日比野克彦氏

会場のあちこちにアーティストが様々な「茶室」を用意。参加者を待っている

TURN」とは、障害の有無、世代、国籍、住環境などの背景や習慣に違いを超えた多様な人々との出会いによる相互作用を、表現として生み出すアートプロジェクトで、2015年より東京都等の主催によりスタート。東京藝術大学は、本プロジェクトの海外展開を2018年より企画・実施している。監修は、東京藝術大学美術学部長でアーティストの日比野克彦氏だ。日比野氏は「アートで社会的課題を解決できないかと考えて企画した。人に伝えることがアートの基本。芸術の多様性を改めて社会に訴えたい」と語る。

TURN茶会」は、お茶をたてる茶会ではない。人が集い、心がつながる小空間が「茶室」であり、そこで行う「心のつながりを促すもてなしや語らい」を「茶会」にみたてた。会場内の四角い空間である各茶室で13人のアーティストが行う「もてなし」は「ワークショップ」である。参加アーティストは、主に南米等6か国に長期滞在し、高齢者や障碍者等、社会的な課題を持つ人々と時間を共有。日本ならではの技法や材料――雑音、土、切り紙、和菓子、いとまき、鯉のぼり、かいしき、しめ縄、地域の踊り等を携え、それをもとに協働しながら「わかり合う」瞬間を創出。創造につなげた。

それらの成果の一端を、本茶会で展開。茶室の一部を紹介する。

■音楽の巣をつくる

ピアノの弦にナイロン糸を無数につなげると、1台のピアノでも複数人で演奏できる

日本人は草の根や虫の音も「音楽」として捉える、といわれている。そこで小野龍一氏は「音楽の巣」をイメージした茶室を用意。ピアノの弦それぞれにナイロン糸をつなげた。ナイロン糸をはじいたり、濡れた布等でしごいたりすると、様々な音が生まれる。ピアノ経験の有無にかかわらず、1台のピアノを複数人で演奏でき、音楽経験や言葉を超えた交流や協働につなげる。

■かいしきを折る

慶事と弔事で折り方が異なる「かいしき」。アルゼンチンの障碍者施設に訪れた岩田とも子氏は、これを、折り方で「自分の気持ちを表現するもの」として紹介。「日が昇る」折り方は慶事、「日が沈む」折り方は弔事であるという説明は現地にスムーズに受け入れられ、「伝統的な行為には伝える力があると実感した」と話す。

■土から土へ

ポーランドの高齢者コミュニティと陶芸を通じて交流した高岡太郎氏は、焼く前の陶器(生素地)を「創造的に壊す」ワークショップでもてなす。ペンチやハンマー等、壊すための道具も用意。壊した欠片は水を加えることで再び土=材料に戻る。陶芸家は、生素地を繰り返し壊し、納得のいくものだけを焼く。その体験を共有するイメージだ。体験した人は「小さい頃の土いじりを思い出した」と話した。

各茶室ワークショップ参加の予約は不要。入場無料。ライブ配信も予定。▼詳細=https://www.turn.geidai.ac.jp/turn―chakai

 

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年8月2日号掲載

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