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教育ICT

Society5.0の世界を視る~Society5.0科博 サイバー展示9月5日まで

2021年8月2日

内閣府と国立研究開発法人海洋研究開発機構は7月、「Society5.0科学博」を東京スカイツリータウンで開催。AIやビッグデータをどう活かすのか。日本の課題を解決できるテクノロジーやアイデアとはどのようなものか。STEAM教育の目指す世界を垣間見ることができる内容だ。テーマは「日本が想い描く『2030年の社会』を世界へ」。会場の展示物を疑似体験できるサイバー展示は9月5日まで開催。
https://society5expo.jp/

特設パビリオン「Society50の未来像~5つの社会課題を解決する展示~」では戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)、革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の成果を中心とする、社会課題解決およびSociety50実現に資する科学技術が集結した。

■高度化したセンサーをデータ活用に活かす

様々なセンサーは、Society50を支える基盤技術の1つ。「誰も取り残さない」「孤立させない」社会づくりに、センサーが果たす役割は大きい。

汗、薬、腐敗臭ほか、匂いには様々なものがある。このすべてを1つのセンサーで判断することは難しいといわれてきたが、「犬の嗅覚以上、象の嗅覚を目指す」(象の嗅覚は敏感)嗅覚IoTセンサーは、これを実現。例えば麻薬犬の役割を担保したり、野菜や果物の食べ頃を測定したりする等が可能になる。

アシックスは、腰や脚やシューズにつけたセンサーで、走り方のフォームや体のバランスを計測して評価し、その人に合った練習やトレーニングを提案する技術を披露。本技術により、姿勢や歩き方のアドバイスも可能になるという。さらにカシオと協業して心拍数も計測する仕組みを開発。

様々なセンサーを海底に埋めて幅広い研究に活かす

久留米工業大学は、電動車椅子に各種センサーを付属して安全な自動運転を実現する。

CYBERDYNEが提供する、身体機能を改善・補助・拡張・再生する装着型ロボット「HAL」は既に実用化されており、さらに高度化。人の意思を脳の信号として検知して、足や腰、腕等に装着したロボットが自分の手足のように動く。さらに同社は、脳波や心電、呼吸音など様々な生体情報を日々測定する「バイタルセンサ」を開発。ビッグデータを集積して分析し、病気を早期発見。早期治療や予防に貢献する技術で、実用化が始まろうとしている。

 

■サイバー攻撃を可視化

国立研究開発法人情報通信開発機構(NICT)も出展。様々な技術の可能性を紹介した。

インシデント分析センターNICTER(ニクター)は、世界中で実際に起こっているサイバー攻撃を世界地図上に可視化。日本に多くの攻撃が訪れていることが一目でわかる。対サイバー攻撃アラートシステムDAEDALUS(ダイダロス)は、サイバー攻撃を出している会社・学校・自治体を可視化して警告。サイバー攻撃統合分析プラットフォーム「IRVANA改」は、組織等を守るセキュリティ機器が出している警告を可視化・数値化。ネットワーク管理者がどこで異常が起こっているのかがわかる。

DAEDALUS(ダイダロス)はサイバー攻撃を出している会社・学校・自治体を可視化して警告

多言語翻訳アプリの実用化が進んでいる。NICTは31言語に対応した多言語翻訳アプリ「VoiceTra」を開発。話しかけたことを指定した言語に翻訳するもので、個人使用の場合は無料で提供。なお本技術は既に民間企業に提供しており、製品化が進んでいる(ポケトークS、VoiceBiz、みらい翻訳プラットフォームほか多数)。

■AIで災害対策

防災チャットボットで正確な情報を迅速に収集。デマの拡散を防ぐ

基盤的防災情報流通ネットワーク(SIP4D)は、組織を超えて防災情報を共有。互いの情報を見える化し、災害時の情報を一元化する仕組みだ。

防災チャットボットは、能動的に災害情報を収集。被災地や被災者に合わせた正確な情報を提供する。

高性能の耳をもつ飛行災害ロボット(大型ドローン)は、ドローンのプロペラ音や風の音などの騒音に影響されない音源検出技術を開発。雨天でも操作できる防水マイクを装着している。

トンネル画像計測装置「MIMM」とレーザー打音検査装置は、国家プロジェクトとして開発。トンネルや道路、橋梁などの状態を画像検索し、ひび割れ等の危険な箇所を察知。さらに、レーザーで衝撃を加えて振動を計測、危険度を測定。精密点検の必要な場所の正確な座標を提示する。従来は熟練工がハンマーで確認してきた。トンネル点検には時間がかかり、かつ熟練工の育成にも時間を要する。その作業を本技術により短時間で測定可能にした。既に実用化が進んでいる。

■アンモニア燃料で火力発電をクリーンに

頑丈で自己修復機能や形状記憶機能を持つタフポリマーは自動車の軽量化とエネルギー消費削減が可能

エネルギー問題も重要だ。アンモニア燃料は、電池火力発電所をクリーンなエネルギー減に転換する救世主として注目されている。長年の研究によりアンモニアを燃やすことに成功。天然ガスにアンモニアを混ぜることで二酸化炭素の発生量が大幅に抑えられる。

東レ・カーボンマジック社はプラスチックを超えたしなやかで強靭なタフポリマーを開発。プラスチックの脆さという課題を克服したタフポリマーはこわれにくく頑丈で、自己修復機能や形状記憶機能を持つ。自動車のボディやタイヤ、充電池などに採用することで、軽量で頑丈、エネルギー消費の削減による二酸化炭素排出量減が実現する。

■農業もスマート化

センサー、カメラ、AI等を利用した農業のスマート化が進んでいる。この多くのデータを蓄積する農業データ連携基盤(WAGRI)は、誰でもデータを活用できる仕組みを目指す。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年8月2日号掲載

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