関西外国語大学は2021年3月、外国語学部2年次生を対象に「KGU×MGM エデュケーションプログラム」をオンラインで実施した。
本プログラムは、サービス・ホスピタリティ業界でグローバルに活躍するリーダーを育てる目的で、同大学と世界屈指のIR(統合型リゾート)企業MGMリゾーツ(以下MGM)との共同で、2020年から始まったものだ。20年はラスベガスでIR施設を見学するなどのプログラムが組まれたが、今年は新型コロナウイルスの影響により、オンラインでの実施となった。
プログラムには関西外大生22人に加え、京都大学経営管理大学院観光経営科学コースの院生7人も参加した。
学生は6日間のプログラムでIRの最先端を学んだ。
初めの4日間はMGMの各部門の責任者のレクチャーをオンラインで受講。学生はレクチャーを受けるまでの限られた時間で、大量の英文資料を読んでから、英語で行われるレクチャーに臨んだ。各レクチャーは60~75分で、毎日3~4コマ実施された。
内容は、ホテル運営、新型コロナウイルスに対する取組、環境に配慮した施策、大規模ビジネスイベント、エンターテインメントについてなどだ。
5日目は、プログラムの集大成として、MGMが運営する5つのIRについて、それぞれの強みや特徴をリサーチし、グループごとに発表した。
6日目の修了式では、MGMの人材開発分野の責任者から、リーダーシップについての基調講演が行われた。
今回使用したオンラインツールはMicrosoft Teams。手軽に使え、チャット機能や手を挙げるサインなどのインタラクティブ機能も備えており、意思表示や質問などが自由に行えた。オンラインミーティングでの意見発表は、ほかの参加者から注目を浴びる中、1人で、英語で話さなければならず、初めは緊張していた学生もいたが、徐々に慣れていったという。関西外国語大学入試広報企画部担当者は「巨大IRのマネジャーから直接講義を受けられたことで、最前線のリーダーシップやマネジメントを学ぶことができ、学生自身のモチベーションアップにつながりました」と話す。
オンラインでの実施となったことで、教育的価値が高まった面もあった。
1つ目は、多くのIR専門家から学べた点だ。前回は講師が実際にラスベガスに来なければならなかったが、今年はラスベガスのみならず、マサチューセッツ州、メリーランド州、マカオ、東京など世界各地から約30人のIRスペシャリストがオンラインで参加できた。
2つ目は、デジタルデバイスの活用スキルが身に付いた点だ。ビジネスにおけるオンライン活用は日ごとに「前提」になりつつあり、ビジネス上必須のスキルになった。MGMの責任者によるレクチャーなどを通して、学生は実地で学ぶことができた。
学生は今回のプログラムで、IRに関する財務やマーケティング業務についても知り、ラスベガスで本物のIRを見たいという希望を持つようになったという。
「現地の雰囲気を味わうとともに、現地で行われているエンターテインメント、新型コロナウイルス感染症に対する取り組み、大規模なビジネスイベントなどを目の当たりにしたいという意見が多数ありました」
今後は、オンラインとリアル双方の学びを結び付けることで、さらに効果的な学習を実現させていく考えだ。
(蓬田修一)
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年6月7日号掲載