光村図書では小学校国語、書写、英語、道徳、中学校国語、英語、道徳で学習者用デジタル教科書を提供。同社にも学習者用デジタル教科書等に関する問い合わせは4月から届いている。現状では、パスワードに使用してよい文字列等設定に関する質問が中心で、学校からの問い合わせも多い。
同社のデジタル教科書で採用している「まなビューア」の設定方法(3OS共通)についはYouTubeで動画を掲載。Googleアカウントによるシングルサインオンも可能だ。iPadの場合アプリが必要。MDM等でアプリを配布すると共にURLも配布して入力(ペースト)する必要がある。
学習者用デジタル教科書については、本事業による導入のほか、自治体や私立学校等でも導入が始まっている。
同社の学習者用デジタル教科書の製品版の購入者は、希望によりクラウド配信を選択でき、学習者用デジタル教科書に書き込んだデータ等をクラウド上に保存できる。このほか「端末に保存」「ファイルに書き出して保存」についても申し込み時に選択できる。これはクラウド不可のポリシーがある自治体でも活用できるようにすることが目的だが、現状、クラウド保存を選択する学校がほとんどだという。なお端末に保存する場合で端末の持ち帰りができない場合は自宅の端末から学校の端末上の書き込みを見ることはできない。
学習者用デジタル教科書は指導者用デジタル教科書の一斉提示と異なり、自分の見たい部分を繰り返し視聴することができる。個別最適な学びに向けて、この点を活かした授業づくりが求められる。また、指導者用デジタル教科書と同様に音声、動画、資料等が豊富で、これを個別で視聴できるため、紙の教科書に比べて授業前の予習や自学が格段に取り組みやすくなる。例えば家庭学習や授業が始まる前に、国語の本文の朗読や英語のネイティブ音声を聞いたり、英単語のフラッシュカードに取り組んだり、映像を視聴したりすることができる。教科書を家庭で一読する、という従来の家庭学習が、デジタルになったことで大きく変わる。
教科書紙面の文字の大きさや明るさ、背景色を変えたりルビ表示をしたり、自分が使いやすい教科書表示に変更するのもお勧めだ。主体的に教科書や教材に関わることで愛着がわき、学習意欲が高まる効果が期待できる。
同社の中学校英語は、本文内容を実写化して収録しており、学習の意欲付けに役立つと好評だ。場面設定や間の取り方、ジェスチャーなど、英語による自然なやりとりのイメージを持って学習に臨むことができる。音声を消してアフレコのようにやりとりを役割分担しながら発音練習することもできる。実際の取組事例では、声色を工夫したり動作を大げさにしたりなど、繰り返し楽しみながらアフレコに取り組むことで、自然と本文の内容が理解できるようになるという。
ごく自然に何度も繰り返し視聴できる仕組みを作りやすいのがデジタル教科書の特徴だ。
国語に搭載された「マイ黒板」については前回、好評であったものの、使い方に迷うという声もあった。そこで今回は、教科書の手引きに沿った使い方例を提示。慣れれば枠線のない黒板としてこれまで通り自由に活用できる。
文学教材で搭載している人物相関図にも使い方ガイドを追加。使い方ボタンを押すとWebにリンクしてガイドが示される。人物イラストも追加している。
デジタル化することで、個別作業に取り組みやすく、画面を見せ合いやすくなり、グループ学習を進めやすくなった。
同社では「大人が心配するほど子供は活用に悩まない。一斉視聴していたものが個別に視聴できるようになることで学習は大きく変わる。自分のペースで何度も視聴できれば学力の底上げにもつながる。子供が前向きに学びに向かう様々な仕掛け作りもやりやすくなる。本事業をきっかけに、その可能性が広がれば」と話した。