例えばフリーアドレスでオープンな職員室やラウンジ、プレゼンスペースにもなるロビーとそれに続く広い階段スペース、大型スクリーンが設置された地域と協働できるエントランス。そんな高等学校が今後、増えてくる可能性がある。文部科学省は5月18日高等学校改革や学習指導要領の改訂、社会状況の変化等を踏まえ「高等学校施設整備指針」を改訂し、公表した。本整備指針は、3月末に取りまとめた報告書「これからの高等学校施設の在り方について~特色・魅力ある教育と生徒の多様な学びを支える環境づくりを目指して~」を反映。「学校施設の在り方に関する調査研究協力者会議」(上野淳主査・東京都立大学名誉教授)は2019年6月から検討を進めてきた。公立高等学校7校、私立高等学校4校も視察。
高校生の多様化、産業構造や社会システムの急激な変化、少子化の影響や新型コロナウイルス感染症の感染拡大を通じて、生徒たちが集い、学び、生活する学校という場が改めて求められている。新しい高等学校施設整備指針では、社会や世界の状況を幅広く視野に入れ、教育課程を介してその目標を社会と共有すること、社会や世界と関わり合いながら、自らの人生を切り拓くための資質能力を意識して育むこと、地域人材・資源を活用したり社会教育と連携していく「社会に開かれた教育課程」を実現するための学校施設のポイントをまとめた。
教科等横断的な学習ができるなど、主体的・対話的で深い学びを支援する学校環境とする。高校生の学習意欲を喚起し、高等学校改革を実現するため、企業・地域・高大連携を推進できる施設、専門学科のある学校では産業教育施設、通信制課程がある学校ではサテライト施設等を例示した。
ICT環境は学校教育の基盤となる必要不可欠なツールであるとし、創造性を育む教育ICT環境、情報化や国際化進展への対応を盛り込んだ。新JIS規格の机や充電保管庫等の整備、統合型校務支援システムの導入についても明記。
地域の人材育成・生涯学習の場としての複合化・共用化、生徒の多様性への対応、教職員の働く場としての機能向上も示した。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年6月7日号掲載