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教育ICT

危機にも変革にも対応できる教室へ 新JIS規格の机 導入は半数程度

2021年5月3日

危機にも変革にも対応できる教室に向けて討議が進んでいる。新学習指導要領が始まり、1人1台端末も配備され、60インチ以上の大型提示装置の全教室配備も進んでいる。コロナ時代におけるソーシャルディスタンスの確保と共に対面授業とオンライン授業とのハイブリッド化や多様な学習活動も求められている。少人数学級も段階的に実施される。そのような中、文部科学省「新しい時代の学校施設検討部会」では、1人1台の端末環境を活かす新たな教室環境について討議しており、興味深い議論が続いている。4月20日、第2回会合を開催した。

多目的ホール(左)や図書室(右)ほか多様な空間を用意 (みどりの学園義務教育学校)

多目的ホール(左)や図書室(右)ほか多様な空間を用意(みどりの学園義務教育学校)

普通教室の面積は平均64平米であり、約7割が65平米以下である。情報端末・教科書・ノート等の教材・教具を常時活用できる新JIS規格の教室用机(650ミリ×奥行450ミリ)1メートル間隔で設置すると64平米に対して35人までなら可能だ。

現状、旧JIS規格の机(600ミリ×奥行400ミリ)と新JIS規格の机の使用状況は概ね半々程度。多くの学校で机の大きさに関わらず4個以上の教材を使用しており、旧JIS規格の机では約8割の学校が支障を感じている。

■黒板配置を討議

黒板が一方向にのみある限り、その黒板を見ることができるように座るしかない。そこで、黒板を複数提示できる環境の可能性も提案。現在の教室は一斉授業を効率的に進め、個別活動を教員が机間指導しやすい構成であり、この発想から見直すべきであるとした。今後、黒板の配置や教室サイズの見直し、今日的な学びにふさわしい家具、サイズの見直しが進みそうだ。

教室環境が変わると学びや授業も変わる。教員の授業技量を引き上げる環境整備の検討に向けて備前市教育委員会とつくば市立みどりの学園義務教育学校が事例を報告。

1グループに1提示機
備前市教育委員会

2016年、グループ学習や協働的な学びがしやすい特別教室としてフューチャールームにプロジェクター投写ができ電動で昇降する机を配備。前で発表している時、それぞれの机にも同じ画面を投写できる。投写画面を見ながら作業したり、画面に書き込みながら話し合うこともできる。これらはタブレットPCでも可能だが、画面が大きいため会話がより生まれやすくなるというメリットがある。タブレットPCは個人の意見を明確にしやすくなり、双方の配備により選択肢が増えると報告した。

プロジェクター投写できる机を各班に用意(備前市教育委員会)

プロジェクター投写できる机を各班に用意(備前市教育委員会)

多様な空間を用意
つくば市立みどりの学園義務教育学校

2040年代のチェンジメーカー育成を意識して2018年開校。多様なサイズの学びの環境を用意している。

PC教室は広い円型テーブルで協働学習しやすくした。広く、資料も多い図書室はメディアセンターとしてPCや大型提示装置、円型テーブルを配備。端末を持ち込んで活動できるようにWiFiも完備。

多目的ホールでは各種発表会・報告会等を実施。複数台の大型提示装置を持ち込んでバーチャル水族館体験も行う(写真左上)などダイナミックな学習にも活用している。

普通教室の大型提示装置は70インチ。新JIS規格の机も配備してタブレットPCも活用。

廊下スペースも広く、授業等で制作した車のレースなども行うことができる。

多目的ホール(左)や図書室(右)ほか多様な空間を用意 (みどりの学園義務教育学校)

多目的ホール(左)や図書室(右)ほか多様な空間を用意(みどりの学園義務教育学校)

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年5月3日号掲載

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