若者を中心に一気にユーザが拡大したTikTokを運営するByteDanceは3月26日、「TikTok Japan Safety Update RoundTable」を開催。楽しく安全な利用のための取組を紹介した。
TikTokは利用者の多くが若者であるため、年齢制限を始め多くの規約を設けている。「TikTokの安全安心に関する現状と課題」についてByteDance執行役員・公共政策本部長の山口琢也氏が説明した。青少年の安心安全を最優先事項として①ルールの整備、②ツールの整備、③教育啓発の推進、④連携の推進の4つの柱で取り組んでいる。
利用規約、コミュニティガイドライン、そしてプライバシーポリシーの3点を設け、機能の変更などに合わせて随時見直している。コミュニティガイドラインは「TikTok上でどのようなコンテンツをアップロードして良いのか」、「どのようなコメントをすれば良いのか」などを理解してもらうためのものだ。
保護者が子供の利用を管理できる「ペアレンタルコントロール機能」を世界に先駆けて日本で導入。保護者が自身のTikTokのアカウントと子供のアカウントを連携させて利用を管理できる。検索する動画への制限や動画にコメントできる人の範囲も設定できる。「アカウントを非公開にする」「不適切と思われるユーザをブロックする」「投稿した動画にコメントができる人を選ぶ」など、様々な機能を設定できる。
TikTok安全推進アカウントを2019年8月に開設。「誹謗中傷」「児童ポルノ被害」「ネット詐欺」などをテーマに、現在計38本の啓発動画を提供している。興味を持って楽しく視聴できるように人気クリエイターと共にユーザ視点に合わせて制作した。
学校や保護者を対象にした出前授業も展開している。
2018年から「TikTok Japanセーフティパートナーカウンシル」をこれまで7回にわたって開催。9つのNPO団体から意見を聴取する場を設けた。最新の動向や対処すべき問題などの意見を取り入れている。
2021年2月に年齢認証システムを完全導入。新規ユーザだけでなく既存ユーザにも年齢認証システムを導入し、13歳未満の利用禁止を徹底。16歳未満のプライバシー保護はデフォルトで「非公開」にし、フォロワーとして承認した人のみとした。動画へのコメント機能も16歳未満の場合、「友達のみ」と「オフ」の2つのみとした。
誹謗中傷防止に向けて啓発動画やオリジナルソングを制作。2021年3月からコメントに悪口などが含まれているとAIが検知し、再考を促すメッセージを表示するようになった。
様々なネットトラブルが増えているが、今後、有識者からも情報を得ながらTikTokを安全安心なプラットフォームにしていく。
ネット教育アナリストの尾花紀子氏をゲストに、青少年を取り巻くネット環境について聞いた。聞き手はByteDanceの山口琢也氏。
――子供がSNS等でトラブルに遭うことも多い
尾花 動画投稿時に、大人からメッセージを受けることもある。中高生ぐらいは人に認めてもらうことがうれしく、つい大人からのメッセージに反応してしまい、そこからトラブルが発生することがある。
発信者のあらさがしをしてストレスを発散する大人もおり、子供が辛い思いをすることがある。大半のSNSは年齢制限があるにも関わらず、保護者が自由に使わせているケースが多発している。海外では危険なチャレンジ動画に挑戦して死者が出たケースもある。
尾花 安全安心な機能を提供しても、知らないから使えないという人が多い。まずは、その機能があることを多くの人に知ってもらい、試しに使ってもらうこと。使ってみて問題があれば設定を戻せばよい。
尾花 学校の端末を壊してはいけないと考えて設定をそのままにする家庭も多いと思われる。SNSの歴史は浅く、大人の知識はそれほど子供と変わらない。子供が被害者にも加害者にもならないためには、行政、学校、地域、保護者のリテラシー向上と協力体制が求められる。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年4月5日号掲載