共立女子大学・共立女子短期大学は2021年2月、「Kyoritsu教学DX推進プラン」を策定し、教育のデジタル化を強化している。
同学ではこれまでも、2017年度から授業支援システムを積極導入。2019年度には同システムを高度化したLMS(Learning Management System 学習管理システム)に更新するなど学習環境のDX化を進めてきた。
2020年度に新型コロナウイルス感染症対策として、オンデマンド型を中心にした遠隔授業の展開を進めたことで、学修環境のデジタル化が飛躍的に進んだ。
「Kyoritsu教学DX推進プラン」はデジタル化の動きをさらに加速させるために策定したものだ。
「このプランは、学修活動における種々のデータのデジタル化を「徹底」「蓄積」「可視化」して、教職員と学生が利活用することで、学修環境を総体としてさらに向上させることを目標にしています」(共立女子大学 大学企画課)
今回の推進プランから、2021年度に注力する施策を2つ紹介する。
学生に対してオンライン授業に関する2回のアンケート、および教員へのヒアリングを行ったところ、知識定着型の基礎科目については、オンデマンド授業で授業動画や資料を繰り返し確認することで、学期末における理解度が向上したという声が得られた。
そこで、知識定着を学修目標とする教養教育科目(全学部対象)26科目、大学5学部・短期大学2科の専門教育科目48科目を、オンデマンド授業として導入することに決めた。
学修リズムを定着させるため、週1回のペースで確認テストなどを実施する予定だ。
一斉講義スタイルの授業もDX化を進める。
オンデマンド授業の「何度でも復習可能」という利点を対面授業でも実現するため、大学・短期大学校舎のすべての講義室にWebカメラを設置してWeb会議システムにより授業を中継する。
これにより、新型コロナウイルス感染症等の事由で通学できない学生も自宅から授業に参加できる。
また、学生は講義録画データを事後学修として利用することができるようになる。
将来的には、事前に講義動画を視聴してから授業に参加し、ディスカッションなどで理解を深める反転授業への活用を目指す。
20年度はコロナ禍対応のため、多くの科目でオンライン授業を実施した。
これによりLMSの活用が大幅に促進された。
授業資料のデータ配布を始め、視聴時間の把握、小テスト、アンケート、学期末テストなどがLMS上でデータ化されるため、授業に関するデータ収集がより効率的にできるようになった。
今後は、授業をデータ分析等により授業内容の改善やカリキュラム改革といったFD(Faculty Development)活動などへの活用も考えている。
大学企画課では「これまでアナログであった講義授業をデータ化することにより、グッドプラクティス授業の共有や質の保証が可能となります。また、反転授業の導入は、リーダーシップを発揮する女性の育成を目指す本学の教育の質を大きく向上させると考えています」と話す。
(蓬田修一)
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年4月5日号掲載