GIGAスクール構想による配備でiPadを導入している自治体は3割前後ある。特別支援教育のみiPadというところもあるため、台数ベースでいくともう少し増えるかもしれない。
iPad管理については、WindowsPCやChromebookと異なり、GIGA対応の無償プランがなく、各自治体で対応にバラつきがあるようだ。メーカーサポートも各地でバラついているようで、都内の某自治体は「iPadのiOSアップデートのために市内の小中学校の全端末をベンダーが回収。1週間以上使えない」そうだ。MDM(モバイルデバイス管理システム)が入っていないのは明白だ。OS更新の度に1週間使えない体制はすぐにでも是正しなければならない。
別の某自治体のICT支援員によると「iPadはユーザーにとっては使いやすいかもしれないが管理は大変。生徒がある程度設定に知識があるため、いたずらも多い」ということだ。
MDMでは管理機能で、各自の活用時間を確認したり、時間帯で使用可能な機能を制限したり、位置情報を確認したりなど、いざというときに様々な対応が可能になる。持ち帰って家庭で充電する場合も、確実に遠隔から一括で設定変更できる仕組みは、管理者負担軽減のためにもぜひ導入してほしいところだ。
高等学校でもBYODを準備している自治体がある。小中学校配備と異なりMDMは補助対象ではない。使い勝手を確保しつつ管理者の負担軽減とセキュリティを図ることを検討してほしい。円滑な管理は円滑な活用に通じる。
MDMには複数あり、マルチOS管理ができるものもある。
iPadを導入している岡崎市教育委員会(小学校47校・中学校20校)は、GIGA配備をきっかけにMDM「Jamf Pro(ジャムフ・プロ)」で管理(関連6面)。更新作業の効率化を図った。
LTEのiPadを導入した熊本市教育委員会(小学校92校・中学校42校・分校1校)でも2万3460台のiPadを「Jamf Pro」で管理している。
鳥取県立特別支援学校(8校)では、542台のiPadをMDM「CLOMO MDM」で管理している。学校全体で導入しているアプリや、1画面ですべての作業が可能でわかりやすく、作業が短時間ですむという。
生徒用PCとしてSurfaceGo2を2万3000台、教員用PCとしてSurface Pro7を2500台導入する山口県教育委員会では、国内の教育機関として初めて、iPadやAndroid端末も管理できるMicrosoft IntuneよるマルチOS管理を行う。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年3月1日号掲載