熊本県の美里町(吉永公力教育長)は、1人1台の情報端末環境を整備し、各校で効果的な活用を継続している。GIGAスクール構想によりChromebookの整備をいち早く完了して、2020年9月から各学校の教育活動で活かす取組がスタートしている。
美里町立励徳小学校(宮﨑知一校長)は、全児童44人の小規模校だ。これまでにも情報端末の有効活用を展開してきた。今回新たに更新された情報端末とクラウドサービスを各教科での学習に日常的に活用している。
総合的な学習の時間・生活科の時間に、全児童が校区のよさを再発見する「ウォークラリー」に挑んでいる。子供たちは各自が情報端末を小脇に抱えて地域を歩き、発見した地域のよさを撮影して回った。町のフットパス協会に協力してもらい、3時間ほどかけて普段目にしない地域を全員でじっくり歩いて回った。そして、学校に戻ってから、発見した地域の豊かな自然や地域住民の温かさなどを友達と対話しながらまとめた。この郷土学習の中で、子供たちは「ふるさとのよさ」を再発見できた。
プログラミング授業では、美里町の事業である「世代間交流事業」と連携して、地域のお年寄りと一緒に外部講師からeスポーツを学んでいる。さらに、動画配信サイトYouTubeを活用して、新型コロナ感染症防止対策で中止した学習発表会の様子を保護者や地域住民に配信。児童全員が取り組む全校太鼓である「励徳太鼓」の様子を映像で限定公開した。家庭で児童と保護者が一緒に視聴でき、保護者や地域住民には好評であった。
励徳小学校での1人1台の情報端末やクラウドの活用、プログラミング教育を通して、小規模校の開かれた学校づくりにつながる好事例である。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年3月1日号掲載