武蔵野大学は2021年4月、新学部「アントレプレナーシップ学部」を開設する。
同大学によれば、「アントレプレナーシップ」を冠した学部の開設は日本で初。学部長には、ヤフー(株)コーポレートエバンジェリストでYahoo!アカデミア学長の伊藤羊一氏が就任予定だ。
学生定員は60名。60名を1クラス20名の3クラス、それをさらに小グループに分け、クラス担任も付けて、1人ひとりきめ細かく教育を行っていく。授与する学位は学士(ビジネス)。
武蔵野大学は東京・江東区に有明キャンパス、西東京市に武蔵野キャンパスがあるが、アントレプレナーシップ学部の学生は4年間、武蔵野キャンパスで学ぶ。
専任教員はベンチャー企業経営者やNPO創業者など実務家が中心で、19名。毎週、授業に起業家を招聘することも予定されている。
「授業では極めて高いレベルでの『社会の最前線とのつながり』を実現する予定です。実践しながら、マインドとスキルを鍛える教育を行っていきます」
学部長就任予定の伊藤氏は、アントレプレナーシップ学部紹介ビデオの中でこう語る。
同学部が目指すのは、自分の思考と行動で、世界をより良い場所にできると、本気で信じる人を増やすこと。
起業の方法ではなく、起業家精神(アントレプレナーシップ)を現役実務家から学べるのが特色だ。
カリキュラムはプロジェクト型の「実践科目」を中心に、社会に対する好奇心や挑戦する情熱を育む「マインド科目」、アイデアを実行し、カタチにするための「事業推進スキル科目」の3つの柱で組まれる。
3年次には実際に起業を経験し、自身の意思で「ことを成す」を学ぶ。
「マインド面では、譲れない思いは何か、何をやりたいか、どうありたいかなどを深堀りしていきます。事業推進スキル面では、考えて決める力、コミュニケーション力、テクノロジーやSDGsについての知識、ビジネススキルなどを育成。実践面では構想する、踏み出す、振り返り改善するなどの力を育成します」(伊藤氏)
1年生全員が学生寮に入寮するのも大きな特色だ。寮生活では、仲間とともに内省と対話を通して、基礎スキルや好奇心を育む土台作りをしていく。
武蔵野大学は「世界の幸せをカタチにする。」というブランドステートメントを掲げている。この実現のため、事業を通して社会課題を解決する人を増やそうと、アントレプレナーシップ学部の構想が生まれた。
同学部では、アントレプレナーシップを「高い志と倫理観にもとづき、失敗を恐れず踏み出し、新たな価値を創造していくマインド」と定義している。伊藤氏は「アントレプレナーシップ学部で学んだからといって、必ずしも起業しなければいけないということではない。(起業するしないにかかわらず)新たな価値を創造していくマインドを持つ人になるよう育てていきたい」と抱負を語っている。
(蓮田修一)
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年2月1日号掲載