愛知県教育委員会では、BYOD専用回線を配備して県立学校でのBYODを開始する方針だ。
各県立学校に、2019年度に教員の授業用タブレットPC(SurfeceGo)を全教員に配備しており、2020年度に携帯端末等を所持していない生徒用として、各校40~80台のタブレットPC(SurfeceGo2)を配備予定。各学年でオンライン授業が実施できるよう、Microsoftアカウントも配備。教職員向けMicrosoft365 EducationA3のライセンスをEES(Enrollment for Education Solutions=教育機関向け総合契約)で統合。EESは教職員に対する包括契約により生徒用PCに展開できる。
各校では無線LANや光ファイバーによる回線増強(1Gbps→4Gbps)の工事が終了している。これまでデータセンター経由だったが、今後は生徒用PCや生徒所有のスマートフォンから直接アクセスできるようになる。保管庫と大型提示装置(プロジェクター)も配備予定だ。
愛知県立杏和高等学校で「情報の科学」を担当している魚住惇教諭は今年度、生徒用としてタブレットPC「MousePro―P116B―EDU」(マウスコンピューター)10台の活用を開始した。2年生の授業では、Scratchでドローンの動きをプログラミングし、ドローンが撮影した航空写真を編集。これまで、授業で活用できるPCはコンピュータ室のみであったが、タブレットPCがあれば、PC室以外の校内外でプログラミングをしたり、ドローンを飛ばすこともできる。
「MousePro―P116B―EDU」はペンや指で画面タッチができるので、タイムラインから直接画面に触れて編集ができる。画面が大きく、編集もしやすかったという。魚住教諭はロイロノートのアカウントも準備して、課題の配布・回収に活用。PC室では生徒全員が前を向いていない配置のため、解説動画を各自のPCに配布して説明したり出題したり、授業後に説明内容のスクリーンショットを配布したりしている。話を聞いて理解することに集中させるためだ。「愛知県では、生徒所有のスマートフォン活用を推進していく方針だが、生徒所有のスマートフォンを活用することに抵抗感を持つ教員は多い。そんな中、学校所有の生徒用PCがあれば、様々な懸念なくPCを自由に活用できる。個別最適化された学びにPCとICTの力は必須。今後、本校にも生徒用として県から80台が配備されるが、先行して活用できた。今後は県配備のPCと合わせて様々な教科で活用できるようにし、効果的なBYODにつなげていきたい。MousePro―P116B―EDUは解像度も高く、プログラミングなどに取り組みやすかった。引き続き活用していく。学校配備のPCともWindowsなので設定等については問題なく活用できる」。
県により配備されているMicrosoftアカウントはネットワーク回線増強・設定後、活用が可能になるという。本格的な活用はこれからだ。
魚住教諭は、教員におけるタブレット端末活用法を著書『教師のiPad仕事術』にまとめており、ブログやZoomセミナー等で情報発信を継続している。「今後は、スマホやタブレット端末を使った学習方法の情報発信と、教員の意識改革に力を入れていきたい」と話した。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年2月1日号掲載