「心の天気」は子供が朝や帰りに、今の気持ちを天気に例えて登録。心の変化を可視化できる。選択するだけで操作も簡単
■水谷 春日井市では2020年10月より「心の天気」の活用が始まっています。これは「スクールライフノート」(株式会社EDUCOM)の機能の1つで、子供たち自身がその時の「気持ち」を天気で示し、コメントも記入でき、心の変化を可視化できるものです。
■福井 出川小学校では、心の天気は6年生で朝と帰りに利用しています。登校したら各自で天気マークを登録し、任意で一言コメントを書き込んでいます。帰りの会が始まる前にも同様に入力をしています。
継続していると、いつも私に直接話しかけてくる子供のコメントは少なく、あまり話しかけてこない子供からのコメントが多いことがわかります。また、直接言いにくいことをここに書き込む子供や相談したいと伝えてくる子供も出てきました。心の天気により、コミュニケーションの手段が増えたと感じています。
37人分の天気とコメントを朝の5分程度で確認していますが、いつも同じ天気を入力している子が違う天気を入力すると気になるものです。その日の終わりにはどんな天気を選ぶのか、など注目したり配慮したり声かけしたりするきっかけにもなっています。
■水谷 春日井市では校務支援システム「EDUCOMマネージャーC4th」を使っていますが、心の天気との連携が予定されており、連携できると曇りが3日続いた子供をアラート表示するなどの仕掛けが使えるようになります。
時間割に合わせて、授業ごとに天気を押すことができる「学びの天気」機能も活用できる予定です。
■水谷 これまでの取組で発見したことを教えて下さい。
■久川 クラウド活用による共有の便利さを体験すると、教員はそれを自然と活用するようになると思います。職員会議でこれまですべて印刷していた資料は、データへのリンクを掲載するだけになります。教員は事前に目を通して、必要なものだけを印刷し、会議に臨むことができます。
授業も同様で、授業内容に関する資料や動画リンクをすべてGoogleClassroom上に掲載することが可能です。これまではできなかった、学習方法や学習過程を共有できます。
児童の自ら学ぶ力を育む、ということを考えると、どこまで家庭で取り組み、何を教室で行うのか、そのために子供とどこまで情報を共有することが効果的なのか、について考えていかなければなりません。教科や学年、児童の成長度合いを踏まえた教員の意図により情報共有の匙加減は変わってきます。あらゆる情報を共有できるようになったからこそ、いつ、どのような情報をどれだけ共有して学ばせるかという視点で子供の学びを考えることが新たに必要となる授業力かもしれません。
■望月 若手はすぐに使えるようになるが、ベテランは困るのではないかとよく心配されていますが、ベテランの活用は今までのICT機器導入のときと同じようだと感じています。導入直後は「ついていけない」と困り感もありますが、いくつかの実践例を知ると「そういうことか」と理解が早いのがベテランのすごいところです。GoogleClassroomにGoogleフォームで作ったクイズを入れておくなど、子供たちが毎日楽しみながら使うような仕掛け作りなどの発想が豊富です。
■水谷 急速に配備と活用が進んだ驚くべき1年でした。教員も子供も、授業以上に日常の様々な場面でPC活用が進んでいます。使い始めは少し抵抗感がありましたが、すぐに慣れてしまいました。トラブルはありますが、目の前で起こることですので、その都度指導すれば良く、これまでよりも情報モラル教育を進めやすいと感じています。細かいルールを決めるのではなく、学校で使うPCは公的な場所であり、それにふさわしい振舞いをすること、人の嫌がることはしない、というのを基本姿勢で進めています。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2021年2月1日号掲載
