GIGAスクール構想による1人1台の学習者用PC配備と共に大型提示機器を配備する教育委員会が増えている。埼玉県蕨市教育委員会も2020年度、全小中学校(小学校7校、中学校3校)の全普通教室及び特別教室に65Ⅴ型の大型提示装置ブラビアを計233台配備する。9月から納品が始まっており、12月中には全校配備を終了した。蕨市立中央東小学校(朝倉伸行校長)では、常設になったことで、これまで以上に活用が進んでいる。新しい大型提示装置の使い勝手や授業効果について聞いた。
5年生の算数では、大型提示装置に算数の指導者用デジタル教科書を提示して、正方形と長方形の面積の求め方を復習している。該当箇所を拡大提示しながら次々と出される質問に、子供は元気よく挙手していた。
この日の学習内容は、平行四辺形の面積の求め方だ。授業者の渡邉敏史教諭は、大型提示装置に、ポイントを提示。児童は切り貼りできる図形を使って各自で面積の出し方を考え、大型提示装置上で自分の考えを発表した。
渡邉教諭は、算数や社会はほぼ毎時間、指導者用デジタル教科書を使っており、家庭科では、主に作業過程の動画を提示。図工では、発想のきっかけを促す作品等を導入時に提示している。
大型提示装置を利用する際は画面の見え方をその都度、教室の様々な位置から確認しているという。時間帯や季節、天気により、光の入り方が異なるからだ。
「ブラビアは教室のどこからでも見やすく、見えにくいことがほとんどない。画面が大きいので、細かい作業もわかりやすいようだ。画像の鮮明さにより、子供の集中力がより上がっているように感じる」と話す。
「教員用PCにHDMIケーブルを差し込むだけでブラビアが起動するので、すぐに授業を始められる点がとても良い。教室に常設されたことで、学習の進め方も安定した。板書は『残したいもの』を書く所になり、子供も落ち着いて考えたりノートをとったりできる。提示用の自作教材が増え、配布物も減っている」と話した。
ブラビアで見るとDVD教材の見え方が全く違います。画面が大きく見やすい、隅々までくっきり見える、と好評です。これまでは学年に1台の配備のため予約が必要で、予定が重なり自由に使うことができないこともありましたが、教室に常設できると、教員の自作教材を活用する機会が増え、授業準備の効率化が図られていると聞いています。
各種教材の提示のほか、体育の運動の様子や発表活動を撮影してふり返りに活用する、タイマーを大きく表示して時間管理の目安にするなど、これまでできなかったことも簡単にできるようになりました。
行事を撮影して昼休みや保護者会に放送する、オンラインで全校集会を行うなど新たな取組も始まりそうです。
1月に予定している学習者用PC貸与式では、校長室から各教室に放映することを計画中です。1人1台のPCと大型提示装置を同時に活用できれば、子供の発表活動のさらなる充実も期待できます。
教職員一同、全教室へのブラビアの配備とあわせて、今後のタブレットPCの配備と活用を楽しみにしています。
全教室に大型提示装置が欲しい、という学校からの要望はかねてよりありました。GIGAスクール構想で1人1台の学習者用PCが配備されることで、共有するための大型提示装置は必須であると考え、この機会に一気に配備を進めました。
既存の大型提示装置に加えて不足分の台数を配備すれば良いという意見もありましたが、画面の大きさや鮮明さで教育効果が異なる場合もあると考え、全教室に、同じ環境を用意することとしました。
ブラビア選定の一番のポイントは明るさです。
日常的な活用のためには、教室が明るくても見やすいものが必要です。
画面サイズは55Ⅴ型と65Ⅴ型を実際の教室に並べて配置し、比較して決めました。65V型の圧倒的な迫力に、子供への入り方が違う、この大きさであれば教室後方からも見やすく、教育効果が高いと感じました。2K画像を4K相当にアップグレードできる点も魅力です。
動画視聴の機会も増えており、特に英語では音声が重要になりますが、ブラビアの音は大音量でもきれいに聞こえます。体育館での授業を公開した学校では、スピーカーを使用しなくてもよく聞こえていました。
大きく明るく見やすく、音も聞きやすいというメリットを日常的な活動や様々な授業に活かしてもらいたいと考えています。
蕨市では全教室配備を最優先事項としており、低価格でディスプレイのみ配備し、その後、必要に応じて電子黒板などへ拡張できるブラビアを提案しました。
画像転送装置とHDMIケーブルも同時に配備しました。ケーブルを接続するだけでブラビアが起動する点も、先生方に好評価を得ています。
教育家庭新聞 新春特別号 2021年1月1日号掲載