カンコー学生服は11月16・20日、展示会「Solution for Students―変換点―」をオンラインで開催した。オンラインによる開催は初の試みで、教育関係者への限定公開だ。リアルタイム配信によるセミナーのほか、オンラインならではの企画を展開。「変換点」をテーマにした4ブースでは「価値観が変わる」「学校が変わる」「着る人の声で変わる」「生活が変わる」視点で同社の取組を紹介した。
密を避ける方法が社会的に求められ、多くの取組のオンライン化が進んでいる。本展示会では、全国から5校が、生徒による課題解決プロジェクトをオンラインで発表した。活動内容や成果の発表と講評や質問なども行った。カンコーでは、学校と学校をつなぐ支援や探究学習プロジェクトの支援も行っている。
新たな取組「スマート採寸」も披露。制服や体操服を新入生が購入する際、採寸による密を避けることができる新しい提案だ。
「スマート採寸」は、自宅等でカメラ撮影することで、最適なサイズや成長に合わせたお勧めサイズの制服・体操服を提案。決済もネット上で行うことができ、購入履歴が残るので追加注文もネット上でできる。学校で実際に採寸する場合には、時間予約もできる。採寸のための学校や生徒の負担減を考えて開発を進めていたが、密を避けるニーズにも適合することから、学校から既に多くの問合せが届いている。
SDGsをテーマにした学校で行っている事例とその活動の意義を動画で紹介。また、カンコーのSDGsの取組を多数紹介した。資源の枯渇問題や環境配慮に考慮したサトウキビ由来のポリエステルを素材とした体操服の開発・提供が進んでいることも伝えた。
トランスジェンダーに配慮した制服の採用が増えている。カンコーではLGBTQについて継続して情報発信しており、今回はトランスジェンダーの子供たちの実態と支援について、ジェンダークリニック医師である中塚幹也教授(岡山大学大学院)や当事者である西原さつきさんの講演を配信。LGBTQの基礎知識と周囲ができる支援についての資料を請求できるようにした。
カンコーでは、着用者である生徒の心に寄り添うテーマとして「かわいい」について研究している。かわいい研究の第一人者である入戸野宏教授(大阪大学大学院)のサポートで『かわいい制服研究室』を立ち上げた。展示会内では、女子中高生との会話などから「制服」におけるかわいいについて解説した動画を公開した。
制服に関し、全国の女子中高生約80名を対象にしたアンケートを行い、その結果を踏まえた討論会の様子も伝えた。「スカートは無地とチェックではかわいいと感じる丈が異なる」「パンツスタイルでも『かわいい』ことは重要」「パンツもスカートも同じ柄で自由に選択できる」などを望んでいるようだ。
新モデルの制服は、ファッションショー形式で紹介。KANKO企画では伝統校をイメージしたスタイル、日本の伝統的な色彩を大切にしたスタイルを提案。BEAMSSCHOOL product by KANKOやELLE ECOLEなどの制服を着用して生徒が動く様子も視聴でき、それぞれの制服を360度VRで確認することができる。
20年前、10年前、現在の体操服を生徒が実際に手に取り、順に着用した様子も動画で紹介。生地やデザイン、動きやすさについての感想を聞くことができる。
体操服は集団活動をするときに着用することが多いことから、集団としてどう見えるかがわかる映像を提供。カンコーが展開する「KANKO PREMIUM」、「KANKO×Phiten」「KANKO NORMCORE」「Reebok」等を着用した生徒がサッカーやマラソン、談笑している姿などを見ることができる。
カンコーではこれからの時代に求められる制服・体操服の機能を、素材研究やパターンの側面から研究開発している。
防透け素材「MIENNE」の透けにくさの実験、紫外線カットや遮熱性の実験などで素材の機能がよくわかる動画を視聴できる。
「MIENNE」はさらに進化し、紫外線カット率99・1%と軽量化を実現した「MIENNEAir」を今春に発表したばかり。今後、夏向けの長袖体操服など新たな提案につなげていく予定だ。
高等学校教育改革や情報活用能力育成が喫緊の課題とされていることから、「普通科再編に伴う―地域探究学科の理想像」をテーマにしたトークセッションやワークショップ「ICTを活用したミライの力プログラム」もオンラインでライブ配信した。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2020年12月7日号掲載