鹿児島県中種子町(北之園千春教育長)では、1人1台の情報端末の活用やオンライン学習に積極的に取り組んでおり、教育の情報化を柱の一つに据えた、町を挙げての教育改革に挑戦している。
教育の情報化を町全体で推進し、学校間の連携を強化するために「学習情報センター」を納官小学校(田中伊礎子校長)に設置した。「学習情報センター」は、専属の所員が整備や研修を行う行政機関の組織ではない。納官小学校が、ICT活用のモデル校としての実践研究を推進しながら、町内の小中学校に向けて事例や成果に関する情報を発信する役割だ。現在、これまでの取組をWebサイトで鹿児島県内外に広く公開している。さらに、1人1台の情報端末を活用する際に有効な手立てを紹介する動画コンテンツを制作して動画配信サイト(YouTube)で町内の学校に役立つ情報を提供している。
さらに、町内の学校間の連携を強化するために、オンライン学習の企画を積極的に進めている。町内の納官小学校、岩岡小学校(郡山正一郎校長)、星原小学校(田邑八重子校長)の3校が合同で実施している宿泊学習に関する事前学習をオンラインで展開した。その際、学習情報センターのメンバーが出向き、接続等の作業を行う形で支援することで、トラブル等への対応ができた。以前の宿泊学習では、事前学習会は実施しておらず、当日いきなり顔合わせという形で宿泊学習を実施していた。今回の実践では、オンライン上で顔合わせができており、子供たちにもとても好評であった。移動時間や職員の旅費を軽減でき、宿泊学習後も定期的に交流を続けてはどうかとの意見も出され、非常に有効な学習方法となることを確認できたようだ。
情報端末1人1台やオンライン学習の取組は、コロナ禍においてさらに発展している。全校集会をオンラインで実施したり、家庭との接続に活用したりしている。夏の長期休業中には、Web会議システムを活用して学級活動を実施し、子供たちの安否確認と学習の進捗状況を確認することができた。当初は、WiFi環境がなく支援が必要な家庭もあったが、現在は全家庭にWiFiがあり、1人1台の情報端末を持ち帰る実践も進めている。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2020年12月7日号掲載