鳥取県立特別支援学校(8校)では現在、計542台のiPadをMDM(モバイルデバイスマネジメント)で管理している。現場教員の声を基に、今年度からCLOMO MDM(アイキューブドシステムズ)に更新した。教育委員会事務局教育環境課教育情報化・学校整備担当の西川まりん主事に、特別支援学校のICT活用の特徴とMDM導入のポイントを聞いた。
鳥取県立特別支援学校では2013年度からiPadを活用している。特別支援向けのアプリが多く、タッチパネル操作ができ、キーボードやマウス等入出力支援機器との相性も良いため、活用度が高く、年々導入が増えたという。台数が増えるとOSやアプリの更新、設定等の管理に時間がかかる。一括管理できる仕組みが必要と考え、2016年度にMDM(モバイルデバイスマネジメント)を導入した。
教育環境課では、導入した機器の活用状況について適宜ヒアリングも行っている。「iPadの導入数が多い学校では、MDMは業務改善に役立っていることがわかりました。一方で、操作が難しい、わかりにくくて時間がかかる、という声もありました」
そこで、次回更新時の整備に活かすため、MDMに求められている機能について検討会を実施。特別支援学校4校の教員とともに既設のMDMも含めて3製品について説明を受けたところ、CLOMO MDMの評価が高かったという。
「画面情報がシンプルで分かりやすく、やりたいことがすぐにできる、直感的に作業できる、と参加した教員全員から好評でした。これまで悩ましかった課題の多くが解決できたようです」
CLOMO MDMは、1画面ですべての作業が可能でわかりやすく、作業が短時間ですむ。
「既設のMDMは、やりたいことにたどり着くための選択肢が多く、異なる操作をするときは最初の画面からやり直す必要があり、操作に時間がかかっていたようです。特別支援学校の教員は子供と過ごす時間が多いので、短時間でできないと、すぐに他の方法を選択してしまいます」
操作が簡単で短時間ですめば、授業の合間にも活用しやすい。迷子にならないインターフェースで、途中で作業を中断してもすぐに続きから始めることができる。
そこで更新のタイミングでCLOMO MDMを導入。6月下旬に初期化作業を行い、7月に新しいMDMを配備した。
特別支援学校では、聴覚支援や視覚支援、学習アプリなど、1人ひとりのニーズに合わせた機能を持つアプリを各自のiPadに導入しており、児童生徒数が多い学校では、1校で70種類も活用している。
「学校全体で導入しているアプリはMDMで管理していますが、1人ひとりのニーズに対応したアプリは1台ごとに設定が異なるため、MDMを使用せずに1台ずつ更新を行う学校がほとんどでした。しかし今後、コロナウイルス感染症の影響で長期間にわたり休校が必要になり、iPadの自宅への持ち帰り活用が始まるかもしれません。たとえ数台の管理作業でも、手元になければできませんが、使い勝手の良いMDMがあれば、遠隔による管理で対応できます。必要に応じiPadの台数が増えることも考えられます。学校単位で管理しているので、導入台数が増えると、簡単に管理できる仕組みは、今後一層重要です」
MDMの管理機能で、各自の活用時間を確認したり、時間帯で使用可能な機能を制限したり、位置情報を確認したりなど、いざというときに様々な対応が可能になる。
鳥取県もGIGAスクール構想による整備は進めており、特別支援学校の小中学部も対象だ。2020年度の更新のタイミングで、補助金でリース契約によるiPadの入れ替えを行う予定で、議会承認等の準備はほぼ終わっている。「今後、iPadの導入台数は増えていくこと、活用する場所が多岐に広がることが予想されます。これまでとは異なった機能のアプリも必要になるかもしれません。様々な可能性がある中、新しい手立てを確保できた、と考えています」と話した。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2020年10月5日号掲載