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教育ICT

【第77回】ICTキャンパス 阪南大学「ロボットで発音チェック 英語文献読解支援も」

2020年9月7日
連載

カラオケのように英語発音を採点

Charpyを使った発音学習の様子

Charpyを使った発音学習の様子

大阪・松原市にある阪南大学経営情報学部・松田健准教授は、英語学習の授業で、ロボットを発音チェックに活用した実験を行い、学生にとってより印象に残る授業の展開に、効果を上げている。松田健准教授に、ロボットをどのように活用した英語学習を行っているのか話を聞いた。

 実験で使われているのはCharpy(チャーピー)という英会話ロボットだ。高さ23㌢ほどで、外見はぬいぐるみのように可愛らしいが、音声認識機能を持ち、英会話の先生と直接話しているような感覚で会話練習ができる。

 授業で学生は45人のグループに分かれ、Charpyの発音を手本に英文フレーズや単語を発音。Charpyが学生の発音をチェックする。

 それとともに、各グループにおいて、発音の自己評価、および他己評価も行った。

 Charpyには、専用のスマホアプリがある。今回の実験では、アプリに発音を0点から100点まで採点する機能を加えた。

 発音チェックについては、例えば子音の「b」と「v」の違いを、ほかの人の発音を聞きながら、正しい発音をするため、試行錯誤しながら学習を進めた。「一般的に実験というと、データを取ることが目的になりがちですが、授業の中で行うものですから、楽しく学べる雰囲気作りを大切にしています」

 グループワークにすることで、複数人が同時に発音するし、1人ずつ発音するよりも発音する際の恥ずかしさを和らげるようにした。

 他の学生の発音を聞くことで、発音のどの部分が難しいのかなど、発音に対する意識付けにもなる。

 「グループで学生同士、発音の注意点を、お互いの発音を聞きながら議論し、ロボットに発音を教えてもらう経験は、学生の印象に残ります」

ロボットで練習して英語に自信を付ける

 英語の発音チェックを行う方法は、学生が動画や音声をお手本に英語を発音し、その音声波形を評価するという方法もある。

 今回、ロボットを使った理由について、松田准教授はこう話す。

 「ロボットという見ることができ、触れられるものを介して、カラオケ採点のようにゲーム感覚で発音チェックすることで、学生は学習したことを記憶に残しやすくなるだろうと考えたからです」

 また、ロボットを活用することで、授業自体が楽しくなった印象があるという。

「教える側がCharpyをどのように活用するかが重要になりますが、生徒・学生にとっては、いつもとは違う授業を経験できるのではないかと思います。教わる側も教える側も、クラス全体の理解度は気になるでしょうから、グループワークにすることで、どちらにとっても、得られるものが増加するのが大きなメリットだと、実験を通して感じました」

 発音だけでなく、英語の授業において、ロボットをどのように活用すると、より効果的な授業が展開できるだろうか。松田准教授は次のように話す。

 「一般的に、カリキュラムには、学習すべき重要事項が定められているはずですから、その授業で大切なポイントを、ロボットを通して学習することで、学習者に印象付けられると考えています」

 授業すべてをロボットに任せるのではなく、ポイントを絞って、先生とロボットが協同しながら授業を展開していくことで、学習者にインパクトを与えられるのではないかという。

 今後は、松田准教授の研究室において、学生が英語の論文や文献を読む際の支援ツールとして、ロボットを活用することも考えている。

 「学生は、英語で発表をする機会もあります。自分の発音でも正しく伝わるかどうか、ロボットで練習することで自信をつけさせてあげたい」

 学校だけでなく、学習塾でも活用できるよう準備を進めているところだ。(蓬田修一)

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2020年9月7日号掲載

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