埼玉県飯能市(小学校12校・中学校8校)は小中学生用PC(iPad・LTE)5142台(奥武蔵創造学園除く)と教職員用390台、予備18台、計5550台を整備し、9月1日から市内全ての公立小・中学校で1人1台PC活用を開始。高速大容量回線に接続できる校内LANを全小中学校に整備。今年度中に配備するLAN環境はカテゴリー6Aを標準装備する。
飯能市では、地域の大学・産業・地域住民等と連携。飯能市の豊かな自然や森林資源を生かした体験活動やフィンランドとの交流などでICT環境を活用。学びの改革に生かす。2019年度に開校した奥武蔵創造学園奥武蔵小・中学校ではLTEのiPadを全児童生徒に配備しており、臨時休校期間中も遠隔で学習を進めることができたことから、本整備の早期実現につながった。
9月1日、飯能市立加治小学校3年3組では、担任が児童に1人ずつiPadを手渡しした。iPadには既に各自の名前が記入されている。皆で一斉にスイッチを入れ、パスワードを入力して授業支援ツール「ロイロノート」にアクセス。
教員は大型提示装置を使ってやり方を説明し、児童は「ノートに書きこんで提出」を体験。
その後、教員からの質問「好きな食べ物は何ですか」を絵や文字で記入して提出した。「みんなの答えが一斉に見えるようにしよう」と全員の画面を手元のiPadでも見えるようにすると、児童は「きた!」と大喜び。
「いちごが好きな人が6人」「お寿司も6人だよ」と熱心に友達の答えを確認した。「見て」「消せない、どうやるの」「ここだよ」と、教室のあちこちでお互いのiPadをのぞき込む姿が見られた。
大久保勝市長は「埼玉県の中で一番早く全員が使えるように、急いで用意した。家でも学校でも学び、お互いのいいところを見つけてたくさんほめよう」とあいさつ。今井直己教育長は「学び合いでたくさん使って」、中井健一校長は「卒業するまで使うので、大切に使って」と話した。児童は「iPadは初めて使ったけど説明がわかりやすくて楽しかった」「お父さんのiPadでYouTubeをよく見ているけど、学校のiPadはいろんなことができて楽しい」と話した。
早期の全校整備が可能になったことについて教育委員会では「市立小中一貫校の奥武蔵創造学園でiPadを1人1台で活用し、授業が大きく変わったことから、全市に整備すべきであると市長が判断した」と話す。
飯能市では教員用PCはWiFiで接続し、児童はLTE回線とともに校内ではWiFiでも活用する予定。協働学習支援ツール「ロイロノート」「メタモジクラスルーム」を柱にして学び合いやコミュニケーションを活性化。当面、MicrosoftアカウントやGoogleアカウントを設定しない運用だ。自宅への持ち帰りは保護者へのお知らせを経て、学校判断で始める。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2020年9月7日号掲載