7月13・14日、「With コロナにおける『英語教育×EdTech』~新しい時代の教育を先進的な実践から学ぶ~」がオンラインで開催され、品川女子学院中等部・高等部の山根雅広教諭と三田国際学園中学校・高等学校の尹龍貴教諭は、コロナ禍でのICTを活用した英語教育について報告した。主催はグローバルパートナーズ。同社では外国人英語教員の紹介やコンサルティング等を提供している。
英語科主任の尹教諭は高校1年のインターナショナルクラスの担任だ。オンライン期間中の生徒の自律的な学習を促す取組を報告。成功のポイントは「教えすぎない」「楽しい」そして「雑談」だ。
本校は中高一貫の共学校で生徒全員がiPadを所持しており、2月下旬からの休校でもオンライン授業にスムーズに切り替えることができた。4月8日から6月23日までは完全オンライン授業で、6月24日からは、登校とオンライン授業のハイブリッド展開を進めている。現在、1日の授業は40分×3時間のみ。自学自習の時間を多く設けて取り組んでいる。
休校期間中にiMovie、YouTube、Zoom、Google Classroomなどを活用して「英文法動画プロジェクト」「英熟語ピクチャーカードプロジェクト」「Zoom講演会」などを実施。
「英文法動画プロジェクト」は、教員が英文法を教える前に、生徒が自分で教科書を読み、理解した上で英文法の教材として次の手順で動画を作成する。①誰がどの部分を担当するか教科書の担当範囲を発表、②生徒が自分で教科書を読んで理解、③友達に説明するつもりで教科書の内容を解説動画にする、④生徒が動画を提出後、教員がチェックして各自の動画を繋げる、⑤完成した動画を生徒全員に配信し、生徒は動画を見ながら英語ノートを使って学習する、⑥理解度を確かめるため、その範囲の問題を解く。
「英熟語ピクチャーカードプロジェクト」は、オリジナル英熟語帳を105人で一緒に作るプロジェクト。家庭学習で英熟語に取り組むと、理解できない生徒や途中で飽きる生徒が出てくる。そこでイメージが湧きやすく、楽しく勉強ができるものを考えた。
熟語に番号を振って1人ずつ割り当て、その熟語の用例に見合ったイラストを描いて提出する。例えば「pull A’s leg」は「からかっている」を意味するが、足を引っ張ってからかう様子をイメージしたカードを作成していた。生徒が作成した熟語のイラストはYouTubeにアップロードしている。
「Zoom講演会」は普段はつながることのできない人たちとZoomを通じて話を聞くことだ。外国に住んでいる人に日本に来て話してもらうことは難しいが、Zoomならば簡単に実現できる。ベルギーに住んでいる人と生徒の家庭をZoomで結び、国際経験などについて語ってもらった。講演は15分程度だが、その後の質問会では1時間以上も生徒の質問が止まることがなかった。Zoomだからこそ講師との距離間を感じることなく質問ができる。
オンライン授業で重要なのは雑談。生徒の表情が見えにくい中、雑談しながら、生徒の心境を確認することができる。
課題を与えることは簡単だが、それが宿題の投げつけにならないようする点もポイント。課題を与える意味や与える側のねらいが生徒に伝わるようにしている。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2020年8月3日号掲載