湘南工科大学は、神奈川県藤沢市にキャンパスを構える工学部2系統6学科体制の大学だ。同学では2018年度から学科の枠を越えて、ロボティクスやIoTなどの専門知識と技術が学べる「学科横断型学修プログラム」を展開している。
同プログラムに登録している学生は、所属学科の専門分野を系統的に学びながら同時に、他学科の専門科目も履修できる。
学生は、自分が関心を持つ技術分野について、より広く、より深く学修できる。
初年度の18年度は「ロボティクス」「XRメディア」の2コースを設置。2年生38名が登録した。
翌19年度には「IoT:モノのインターネット」、「AI:人工知能」の2コースを加え、現在4つのコースが設置されている。登録学生数は59名だ。
登録は2年次から可能。1年次の修得単位数など必要条件を満たせば登録できる。
各コースでは、学科や学年の枠を超えて、交流しながら自分の興味ある分野を研究できる。
同学の広報担当者は「学生は自分の興味ある分野を、より広く、深く学べます。様々な学科や学年の学生たちとの協力、交流を通じて、多くのことを吸収したいと積極的に考える学生のために設置しました」と話す。
各コースの概要は、次のとおりだ。
人や物質を人工衛星へ運ぶ宇宙エレベーターなど、近未来において実現が目指されているテクノロジーから、生活支援、コミュニケーションなど、多様なロボット技術を学修する。
バーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)など、リアリティを追求する技術は「XR(クロスリアリティ)」と呼ばれる。モノ、物流、医療など幅広い分野において、大きな変化をもたらすと期待されているXRの基礎的技術を学修する。
IoTによって実現できる技術だけでなく、脳波、眼電位、筋電位などバイオデータの活用についても学ぶ。
AIを極めるため、数学とプログラミングの技術を学ぶとともに、技術者としての倫理についても理解する。
同学の通常カリキュラムでは、4年次に所属学科で研究室配属となり、研究が始まる。
一方、この学科横断型学修プログラムでは、2年次よりコース担当教員から指導を受け、研究にかかわることができ、学会や科学技術の啓発・普及を図る学外イベント(青少年のためのロボフェスタなど)で研究成果を発表する機会もある。
担当教員によれば、所属学科が違うため、機械に強い学生、電気に強い学生、情報に強い学生などが混在しており、教え合うことで、課題を解決していく様子が見られるという。今後も、学生の意欲に応えるかたちで、プログラムの内容をさらに充実させていく予定だ。(蓬田修一)
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2020年7月13日号掲載