学校現場のニーズに対応しながら進化している4K大型提示装置ブラビアが、今年度から小学校で活用が始まっている東京書籍の指導者用デジタル教科書・教材との連携を準備中だ。この連携で、どのような教育効果が期待できるのか。東京書籍教育文化局の長谷部直人本部長に聞いた。
3月から始まった休校期間中、学校から急に増えた問合せは「指導者用デジタル教科書を提示して説明している様子をオンラインで配信してもよいか」「指導者用デジタル教科書の動画やシミュレーション、写真を配信してもよいか」というものでした。
文化庁もこのニーズに迅速に対応し、教科書等も含め「授業目的公衆送信保証金制度」を前倒しして今年度から施行し、今年度に限り補償金をゼロとしており、多くの教員がオンライン授業で指導者用デジタル教科書・教材を活用しています(※)。オンライン向け自作教材に着手する教員が多くのニュースで取り上げられていますが、弊社への問合せの数から考えると、既存教材のオンライン配信もかなりあったのではないでしょうか。(※各校が公衆送信で利用する際はサートラスへの事前届出が必要。教育委員会等が公衆送信を行う場合は教科書著作権協会に届け出が必要)
指導者用デジタル教科書の学校への導入率は年々上がっています。今年度から新学習指導要領が始まり、小学校英語も教科化され、指導者用デジタル教科書・教材の導入・活用はさらに増える見込みで、現在も多くの教育委員会が検討中です。
GIGAスクール構想による1人1台のPC配備と共に、大型提示装置と指導者用デジタル教科書を整備する傾向もあり、今後も学校ニーズが高い教材であると感じています。
今回の連携で、ブラビアの電源を入れると指導者用デジタル教科書の選択画面がすぐに表示されるようになり、使いやすさが格段に向上します。
ブラビア搭載のAndroidアプリ版と、専用のミニPCを接続したブラビアで使用するWindowsアプリ版があり、PC操作を意識せずにデジタル教科書を活用できます。まずは後者から提供が始まります。
指導者用デジタル教科書を複数学年分導入していれば、前年の既習事項を確認してから新しい学習に入るという授業も簡単です。
2020年度の指導者用は、デジタル教科書とデジタルブック(指導書付属教材)を提供しており、インパクトのある映像や画像を独自に撮影し、これまで以上にふんだんに同梱しています。2011年度から指導者用デジタル教科書を提供しており、初期はPCのパフォーマンスを落とさないように画質を落としている面がありましたが、PCの性能の向上により、新製品ほど画質が向上しています。
4K対応のブラビアは、その良さをさらに生かせると感じているところです。
4Kの大画面で提示したときのインパクトは大変大きく、拡大してもこんなに美しく提示できるのかと感動しました。画像の鮮明さ、明るさで映像の迫力が一層増すのです。
今、STEAM教育の重要性が指摘されており、特に「A=Art」による感性教育が、これまで以上に重視されています。感動は、感性を育むきっかけになり、映像の鮮明さは、感動を生むきっかけになります。教科書に掲載されていた一枚の絵や写真に心を揺さぶられ、それが新たな学びのきっかけになることがあります。今回のコラボレーションは、このきっかけづくりに大いに貢献するものになりそうです。そのような体験を1人でも多くの子供に提供できればと考えています。
小学校英語「NEW HORIZON Elementary」では、教師用指導書に指導者用デジタルブックを付属しています(※)。ブラビアのスピーカーは20Wで高音域も低音域もしっかり聞こえますので、英語の発音練習やチャンツなどで威力を発揮しそうです。発音している口の動きも鮮明に提示できます。(※教師用指導書フルセット版に同梱・フリーライセンス)
明るい教室でも鮮明に提示できるブラビアは、色・形の再現性が高く文字も映像の質感もしっかり表現。視野角が広く、教室の左右・後方でも見やすい。タッチパネルと組み合わせた電子黒板機能も提供。拡大・縮小・指タッチに対応。初年度はディスプレイとして導入し、その後、タッチパネルの後付けで電子黒板にすることもできる。
ミニPCと組み合わせたWindows版指導者デジタル教科書との連携は近日リリース予定。PCレスのAndroid版は現在開発中。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2020年7月13日号掲載