各教育委員会で、GIGAスクール構想に向けた補正予算の計上や調達が始まっている。今年度中に全児童生徒に1人1台を配備すると共にWiFiルータを配備したり、LTE端末を配備するなど、家庭とのオンライン授業も視野に入れている教育委員会やネットワーク環境を抜本的に見直している教育委員会など、各設置者で異なるアプローチが見られる。自分の住む地区の施策はどうなっているのか、SNSなどでも話題に上がっている。PCは配備するが持ち帰りは想定していない、そもそも今年度の配備がない、オンライン授業ができないからうちの町では一刻も早く学校を再開したがっている、という悲痛な声も聞く。非常事態におけるオンライン授業等の開始について、「教育委員会は現場の教員を信じて任せると、教員は素晴らしいパワーを発揮する」という事例が複数届いている。アフターコロナはビフォーコロナと何を変えることができるのか。設置者の考え方が注目されている。
愛知県教育委員会は、新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、自宅待機中の県立学校児童生徒が安心して日々の学習活動を継続することができるよう、教科書やプリントによる家庭学習を補完するため、オンラインによる双方向授業を導入した。対象は県立高等学校全校150校、県立特別支援学校全校30校(分校含む)。
4月10日から全県立学校で試行を開始すると共に各学年でオンライン授業ができるよう、学校のインターネット回線を4倍(1Gbps→4Gbps)に増強し、共用タブレット端末を各校1台から4台体制に増設。
端末は県立学校に対して、昨年度補正予算及び今回追加配備により計6000台(全校に各校40台)。さらにモバイルルータ6000台を整備。県立特別支援学校では、昨年度補正予算及び今回追加の配備により5488台を配備。モバイルルータも同数を配備。
教員が在宅勤務で自宅から授業を配信できるようにモバイルルータ計4422台を整備した。自宅用端末については、各校配備済のパソコン教室用PCや教員の個人所有端末も活用。
なお愛知県教育委員会では、GIGAスクール構想における共同調達に参加希望の市町村で構成した「情報機器共同調達部会」による端末の共同調達を7月頃までに実施する予定。
兵庫県教育委員会は5月11日付けでGIGAスクール構想の環境整備に向けた共同調達で、WindowsOS、iPadOS、ChromeOSの3つについて公告した。
WindowsOSを導入する教育委員会は、洲本市、西脇市、三木市、養父市、丹波市、朝来市、佐用町、新温泉町で計約1万6600台。WindowsOSについてはSKYMENU Cloud GIGAスクール版3年のパッケージが盛り込まれている。
iPadOSを導入する教育委員会は、伊丹市、豊岡市、三田市、朝来市で、計約2万4200台。
ChromeOSを導入する教育委員会及び学校は、兵庫県立大学付属中学校、豊岡市、赤穂市、小野市、宍粟市、たつの市、多可町、市川町、福崎町、太子町、上郡町、播磨高原広域事務組合で、計約1万8200台。ChromeOSでは「まなびポケット」「SchoolTact GIGAスクール版」のパッケージを指定している。納入期限は2020年12月28日。
尼崎市は4月28日、市立小中・特別支援学校及び市立高等学校における教育ネットワーク・教育情報システム再構築自重の公募型プロポーザルを公告した。教育ネットワーク環境(校内LAN及び充電保管庫整備を含む)を再構築し、教職員のICT環境を整備して業務の効率化を図る。セキュリティも強化する。今回の対象は、小中特別支援学校及び高等学校校務系基盤と教育情報機器。
校務系基盤は教員用端末から仮想環境にログイン。仮想環境においてインターネット接続はできないようにする。同じ仕組みでテレワーク環境も確保。インターネット接続して仮想環境にログインして自宅から使用できるようにする。自宅での印刷は禁止する。
拠点ネットワーク整備及び教育ネットワーク機器の設置については国庫補助を活用するため2021年3月31日までに完了。新たに構築する教育ネットワーク・教育情報システムについては、2021年9月から本格運用可能とする。提案上限額は26億4561万円。事業者決定は6月末。
校内LAN回線(有線)は校長室、事務室、進路指導室、特別教室、体育館、職員室、図書室、保健室等を含めて全教室に配備。既に1780室に配備済で、新たに2610室に配備する。
無線LANは、小中高等学校、特別支援学校、教育委員会事務局、教育センター等合わせて2128台のAPを配備。
高等学校向け校務支援システム(保健総合管理システムも含む)も導入。兵庫県で導入している「SchoolEngine」を想定。
教職員出勤管理システム、内部メール、給食献立管理システム、資産管理システム、認証基盤、仮想PCも整備。端末の充電保管庫は小学校123台(各校3台)、中学校54台(各校3台)、特別支援学校1台を予定。プリンターは、全てA3印刷に対応可能なカラープリンターとする。
次期教育ネットワーク・教育情報システムはそれぞれ独自に構築したうえで、次々回の更新の段階で最終統合する。
今後整備を予定している普通教室用端末はChromeOSを想定。小学校2万1235台、中学校9403台を想定。
加西市教育委員会は5月12日、GIGAスクール構想環境構築に向けて公告した。仕様書によると、9月30日までに市内小学校11校、中学校4校、特別支援学校及び情報政策課にPCと周辺機器、ソフトウェアを国の補助金及び市単独予算で整備する。
PCはChromeOSを指定。PC3259台とタッチペンを配備。運用支援・学習支援ツールはチエルChromebook活用パックを指定。協働学習ソフトはロイロノート・スクールを指定。その他Web経由で利用できるドリル教材、映像教材、オンライン百科事典、ビデオ会議用プロジェクター及びビデオ会議用機器も各16式配備。A4カラーインクジェットプリンター32台、電源キャビネットは特別支援学校用に5台。「G Suite」は既に導入済でアカウントも準備。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2020年6月1日号掲載