オンラインワークショップとして、2019年度ＪＡＥＴ学校情報化先進校である徳島県三好郡東みよし町立足代小学校の中川斉史副校長は、校務の情報化の推進から進め、教員の日常的な活用を促す取組や、3月から始まった休校体制におけるＩＣＴ活用について報告・提案。学校情報化先進校として認定されているのは現在、全国で22校。
同校の教室にはＷｉＦｉ、電子黒板、実物投影機、教室用ＰＣを配備済。プリンターは職員室、ＰＣ室、2Ｆ相談室にあり、教室から印刷指示を出すことができるので、各教室から最も近いプリンターに印刷物を取りに行くことができる。そのほか、デジタル教科書（国語、算数、理科、生活、道徳、外国語）、ＮＨＫ ｆｏｒ Ｓｃｈｏｏｌを配備。教員用と児童用それぞれの共有フォルダで教材を配布・回収している。児童用ＰＣは複数種類あり、充電保管庫はフューチャースクール事業時に配備したものだ。
各家庭のＰＣ保有率は年々減っていることから、児童用ＰＣにキーボードは必須。児童用ＰＣは複数種類あるが、ペンタッチよりも指タッチで使用していることが多いようだ。
キーボードによるローマ字入力は小学校3年生からタイピング練習ツール｢キーボー島｣（スズキ教育ソフト）で実施。30級から始まり、2学期末には8級程度に達する。教室にＰＣを常設していれば、短期間の上達が期待できる。
10年以上ＩＣＴ活用に取り組んでいるが、活用が進むにつれ、児童は自分で教材にアクセスするようになり、授業支援ツールはほぼ不要になっている。
ＩＣＴ支援員は、小学校には週1回、巡回している。
教員研修についてよく質問を受けるが、教員については掲示板の共有や共有フォルダによりＰＣ上で書類を閲覧できるなど、日々の事務で便利さを実感できることから始めていた。職員室には連絡掲示板を廃止して、ディスプレイ上で情報を共有しており、情報の一部は教室でも共有できる。手書きで書き込める点が便利。落とし物もすぐに見つかる。この仕組みはＭｅｔａＭｏｊｉｃｌａｓｓｒｏｏｍを利用。出退勤管理もＭａｎｉｃＴｉｍｅを利用している。
この仕組みは長期休業期間中の情報共有でも活用している。養護教諭は、健康状態の入力を校務支援システム上で行っている。また、図書の貸し出しは、教室でもバーコード入力で管理できる。
児童についてはキーボードレッスンをしっかり取り組んでいた点がポイントではないか。キーボードスキルの有無で活用の幅に大きな差が出てくる。個別最適化学習についてはリアテンダント（ＤＮＰ）を検証中だ。同じ単元であっても進捗により提供される問題が異なるので成績上位の子供ほど、｢最後の問題は難しいものがくる｣と、緊張感をもって取り組んでいる。ケアレスミスと判断していたが実は理解が不足していた、などの発見もある。
今回の休校措置では、東みよし町の全小学校の児童がドリル教材（ｅライブラリ）を家庭でも活用できるように、家庭用アカウントを急遽発行した。ＩＣＴ支援員が頑張り、アカウントを持ち帰ることができた。しかし各家庭のＰＣ保有率はそれほど高くなく、ＰＣを持ち帰ったとしてもＷｉＦｉ環境の有無が不明である。公平性という点ではもどかしさを感じる状況だ。アクセスが多すぎて、サーバの動きが悪くなるという現象が起き、結果、アクセスしていたのは全体の3割程度の家庭であった。
Ｚｏｏｍを使ったクラスミーティングも実施したが、同様の事情で全員参加ではなかった。グループで遠隔授業を行っていた学年はスムーズにつなげることができた。最も多いトラブルは音声であった。
次年度から、家庭環境調査で、家庭のＷｉＦｉ環境やＰＣ環境を調査する必要を感じているところだ。
今後は5Ｇ施策によるＬＴＥ端末とする、児童専用回線を町が用意するなどの方策も考えられる。
小学校の場合は皆と同じものを活用する｢初期指導｣が重要。その段階を経てからＢＹＯＤとすることは今後、考えられる。
議論している間にも子供は成長していく。現在の環境で最善を尽くしながら次を検討している段階だ。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2020年4月6日号掲載
