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教育ICT

未来の学び プログラミング教育推進月間 「総合」で企業と連携

2019年12月3日
特集:主体的な学びを支える仕組みをつくる

文部科学省、総務省及び経済産業省では、小学校プログラミング教育の実施に向けた準備を推進するため、2019年9月を「未来の学び プログラミング教育推進月間」(通称∥みらプロ)とし、総合的な学習の時間におけるプログラミング体験を民間企業と連携して実施している。10~11月にかけて行われた公開授業から、10月24日台東区立金曽木小学校(東京都)、11月1日つくば市立みどりの学園義務教育学校(茨城県)の授業を取材した。

“協力”前提でペア作り
東京都台東区立金曽木小学校

日本郵便と連携
ポストや大型郵便局、地区の郵便局、バイク、回収車やキャラクターをプログラミングして「配達の流れ」を説明するプログラミングに挑戦

ポストや大型郵便局、地区の郵便局、バイク、回収車やキャラクターをプログラミングして「配達の流れ」を説明するプログラミングに挑戦

同校の3年生は「台東区で活躍している人を紹介しよう」の学習に「上野郵便局」を取り上げ、日本郵便と連携した授業を展開した。

これまで児童は、郵便局の仕事や配達の流れを学び、郵便局を見学している。その配達の流れを、プログラミングを使って「説明する」という授業でプログラミングを体験した。

児童は、付箋を使って「郵便配達の流れ」をワークシートに貼って整理しており、その流れに従ってプログラミング。2人に1台のタブレットPCで、「ポスト」「地域の郵便局(集配局1)」「地域の郵便局(集配局2)」「大型郵便局(本局)」「軽四トラック(回収車)」「バイク」などの要素を使って、Scratchのキャラクターが「ポストに行ってはがきをだしたら、トラック(回収車)がきて大型郵便局に届ける--などの動きをプログラミングしていった。

はがきをポストに投函したように見せるために「はがきを小さくしてポストの背後に隠す」など工夫。はがきをポストに入れる前に集荷のトラックが到着したり、トラックが同時に動いてタイミングがずれたりなどの様々な失敗を修正し、意図通りの順番で動くように何度も試していた。どのペアも真剣に検討していた。

付箋で整理してからプログラミング。どのペアも熱心に話し合う

付箋で整理してからプログラミング。どのペアも熱心に話し合う

児童の主体的な取組は、クラスの「ペア作り」も大きく寄与している。

クラスでは、「この学習を終えるまでは席替えをしないので、互いに助け合えると思うペアで席決めする」という基準で、子供同士の判断でペア決め∥席決めを行っている。今回も、プログラミング学習を始める前に席決めを行った。「クラスでプログラミングに関して1、2の知識を争う2人」がペアになった際は「2人は誰よりも早く課題を解決し、他のペアを助ける」ことでクラスの同意を得たという。授業者の簑輪幸一主任教諭は「3年生という発達段階だからこそうまくいく可能性の高い方法」と話した。

今後は集配物の区分の仕組みをプログラミングすることに挑戦し、郵便番号の理解にもつなげていきたい考えだ。

クラスでは、1学期に「モンシロチョウの育て方」にアンプラグドを取り入れ、帰りの会を効率的に行うための流れを検討してアンプラグドの整理方法「簡略化して言語化し、流れを整理」することを学んでいる。

同校では次年度のプログラミング教育スタートに向けて今年度、年8回程度の教員研修を校内で実施するなど準備を進めている。

このプログラミング教材は、文部科学省「未来の学びコンソーシアム」で作成したもの。指導案も同Webにアップされている。日本郵便と連携した教材は、主に中学年をターゲットに作成したということだ。

マインクラフトで“理想の家”づくり SDGs念頭にIoT取り入れる
みどりの学園義務教育学校

積水ハウスと連携
「楽しい家」や「環境にやさしい家」をテーマに様々なアイデアを盛り込んだ家を発表

「楽しい家」や「環境にやさしい家」をテーマに様々なアイデアを盛り込んだ家を発表

つくば市立みどりの学園義務教育学校(茨城県)は積水ハウスと連携した授業「みらいの家!みんなの家!」を6年生で公開した。

同校ではSDGs(17の持続可能な開発目標)を達成する学習にSTEM教育を取り入れており、その1つとして本取組を実施した6年生は、マインクラフトを使って「理想の家づくり」に各チームで取り組んだ。

積水ハウスでは、人生100年時代を見据えたプラットフォームハウスや脱炭素に向けたゼロエネルギー住宅の開発などに取り組んでいる。

児童は同社の住宅展示場で、住まいに取り入れられた先進技術や未来の家に提案できるIoTの仕組みなどについて学んでいる。

マインクラフトにログインして分担しながら制作

マインクラフトにログインして分担しながら制作

事前の校内発表会で児童は、積水ハウスの社員からアドバイスを得たり、他チームの発表を聞いたりしている。この日の授業では、そのアドバイスや他チームの良いところを取り入れて「理想の家」の改修を行っていた。

全体発表会では、校内発表会で賞を得たチームが発表した。

「SDGs」の「目標7」を達成する「環境にやさしい家」作りに取り組んだチームでは、自動ドアを顔認証にし、しきりをなくしてスペースを広く確保。大きな窓は二重窓で省エネを工夫。風呂も台所も車椅子で入れるスペースを確保し、扉が必要な風呂は自動ドアとした。

「高齢者にもやさしいまち」作りに取り組んだチームでは、家には段差を少なく、見守りロボットを設置。ベッドはスライムブロックで衝撃を抑えている。深夜営業もできるようにコンビニエンスストアはロボット店員で、銀行も無人化システムを取り入れた。

「みんなの笑顔が増える楽しい家」作りに取り組んだチームは、風呂にマグマブロックを設置して足元を温かくした。屋上にウォータースライダーを設け、家の芝生にスライムブロックを置いてトランポリンのように楽しめ、かつ安全性を確保。雨の日には窓に晴れの映像を投影できるようにした。防災を意識してキッチンには貯水層を設置。避難所には、各種貯蔵庫を設置した。

積水ハウスCSR部の小谷部長は「住み心地と共にSDGsを意識している。今世の中に出ていないアイデアも多数出た。それらを開発していこうとする気持ちが大事。校内発表会でのアドバイスをすぐに取り入れて追加・変更している柔軟性が素晴らしい」と講評した。

タブレットPC
300台をフル稼働

本年4月、同校では学校予算で中古のタブレットPC100台を購入したばかり。現在約300台の児童用タブレットがあるが児童数は増え続けており、現状「3クラスにつき1クラス分のタブレットPC整備」をほぼ達成している状況だ。

PCルームのPCは20台×2セットとして申請して貸し出しているが、ほぼ毎時間貸出予定が入っており、フル稼働している。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2019年12月2日号掲載

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