教育現場に根強い人気があるiPadのOS(以下、iOS)がこれまでと大きく変わった。どのように変わったのか。iOSコンソーシアムの野本竜哉氏と竹谷房寛氏に聞いた。
「簡単に表現するとiOSは、iPadにPCの機能が追加されたイメージです」という。これまで、PCで当然の機能がiPadでは機能しないことがあったが、iPadの利便性を保持しながらPC機能も使えるようになった。
教育向けに最も影響が大きな機能変更が、標準ブラウザ「Safari」の機能変更とマウス・USBのサポートだろう。これまで「スマートフォン」とほぼ同様の使い勝手であったiPadのSafariは、デスクトップ版のWebサイトが閲覧できるようになった。例えばGoogleドキュメントなどをSafariで開こうとすると、機能が限定されたアプリ版を読み込んでいたが、新しいiOSではデスクトップ画面が閲覧できる。これによりGoogleドキュメントやスプレッドシート、GoogleClassroomなどのデスクトップ版機能をiPadでも活用できる。
「これらはPCに提供される機能である、というのがGoogleのスタンスだった。それにiPadが対応した」という。
ダウンロード機能も変わった。リンクをクリックするとPCのようにファイルのダウンロードができ、ダウンロード先はローカルもしくはiCloudを選択できる。ショートカットも使用できる。
マウスやUSBも正式にサポート。USBは「Type-C」と呼ばれるもの。コネクタがこれまでのLightningに加え2種類になった。学校現場でなじみが深い「USB Type-A」を使用するためにはアダプタが必要だ。USB対応により「ファイル」機能も向上。外付けハードドライブやSDカードリーダー、USBドライブなども画面から操作できる。
このほか、ホーム画面のアイコンが小さくなり、画面に表示できるアプリの数がこれまでの20アイコンから30アイコンになった。ホーム画面を右にスワイプすると左にウィジット画面(ひと目で情報を得られる小型画面)が表示でき、ウィジット画面を常駐する設定も可能だ。
また、これまではキーボードが出てくるアプリを開くと自動的に画面の下半分に大きなキーボードが出ていたが、新しいiOSでは小さなキーボードをピンチイン・ピンチアウトして切り替えることができる。写真撮影の活用が多いiPadだが、「写真」アプリのレイアウトが変わり、「年別」「月別」「日別」「すべての写真」のタブが増えて整理しやすいなどの細かい更新がある。
「かなり大きな冒険をしている。その分まだバグが多いが、今後のバージョンアップに期待している」ということだ。対応デバイスはiPadAir2からiPadProまで。
▼iPadOSで利用できる新機能=https://www.apple.com/jp/ipados/features/
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2019年11月4日号掲載