唐津市立加唐小中学校(佐賀県)は、唐津市の玄界灘に浮かぶ人口約150人の加唐島にある極小規模校だ。海上フェリーで呼子港から15分程度の加唐島にある施設一体型の小中一貫校である。加唐島は猫が多いことでも有名で、別名「猫島」とも呼ばれていて、子供たちも猫をかわいがっている。児童生徒数6人教職員数10人の極小規模校で、個別指導が行いやすい等の利点がある一方、コミュニケーション能力等の社会性の育成に制約が生じることをはじめ、多くの教育課題が存在している。
離島小規模校の教育課題を解決すべく、「実践的コミュニケーション力育成と遠隔授業」を研究テーマとして取り組んでいて、2018年度から国立教育政策研究所の教育課程研究指定校事業【へき地教育】を受けて研究を推進している。
小規模校では、子供同士の学び合いが不足して、仲間と共に学ぶことが難しい環境である。そこで、近隣の離島にある学校をテレビ会議で接続して、非対面型のコミュニケーション場面をより多く設定できるようにした。
加唐小中学校がめざす「実践的コミュニケーション能力の育成」は、①自分の考えを「話す力」、②相手の話を「聞く力」、③コミュニケーションを通して自分の考えを持ち「質問する力」、さらには、④場に応じて話す側になったり聞く側になったりする「話し合う力」の4つの力としている。
中でも、特徴的なのは、「質問する力」である。テレビ会議で他校と交流している場面でも、相手に対して必ず質問するように継続的に指導し、テレビ会議でのやりとりに一体感が生まれるように工夫している。
テレビ会議システムを活用して、他校とのスピーチタイムや交流授業を継続して取り組んだり、タブレット端末や電子黒板等を活用してプレゼンテーション力を高めたりするなど、研究テーマに向かって取組は深まってきている。
今年度は、主体的・対話的に学ぶ児童生徒の育成を目指し、児童生徒1人ひとりの実態に応じた個別の目標を設定して、個に応じた指導の充実にも取り組んでいる。
これらの研究成果は、10月4日の研究発表大会で公開される。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2019年9月9日号掲載