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教育ICT

【新連載】元気な小規模校を増やす!<2>「小規模校の遠隔教育はどうすれば継続できるか?」鹿児島大学大学院 山本朋弘准教授

2019年8月5日
連載

鹿児島大学大学院教育学研究科
准教授 山本朋弘

毎週ALTが遠隔授業

テレビ会議を用いて多様な考えを出し合う

テレビ会議を用いて多様な考えを出し合う

熊本県高森町は、学校と教育委員会、町長部局が一丸となって、教育の情報化を推進している先進地域である。定期異動で教員の入れ替わりがあるなか、教員のICT活用指導力が年々向上しており、教育の質の維持向上を図っている。児童生徒の学力向上の証し(エビデンス)もしっかり示しており、小規模校を抱える自治体の先進モデルとして参考になる地域だ。特に近年では、遠隔教育を継続的に取り組んでおり、スタートして5年目を迎えた。高森町は、どのような方法で遠隔授業を継続できているのか。5年間の遠隔教育の変遷を整理する。遠隔授業のスタートを検討している自治体の参考になれば幸いである。

①まずはつないでみる

遠隔授業をスタートした1年目は、まずはつないでみるところからスタートしている。管理職や情報担当者は、相談しながら、初めて経験する先生にとって、遠隔授業の準備に手間をとらないような「仕掛け」として、児童が昼休みなどに、自分で遠隔会議システムに接続・利用できるようにした。これにより、先生がその場にいなくても、児童が主体的に「つながる」体験を積み上げることができた。

②目的や意図を明確にする

校内のすべての先生が遠隔システムに接続できるようになれば、次の段階は、接続場面の絞り込みだ。

単元レベルで、すべての授業で接続するのは本来の目的や意図から外れる場合も多い。そこで高森町では、専門性を生かした遠隔合同授業をスタート。ALT(英語指導助手)がテレビ会議を活用して2校に指導する授業に、継続的に取り組んだ。遠隔合同授業により児童は、それまで隔週しか来校できなかったALTのネイティブの発音に毎週接することができるようになった。

③効果が期待できる活動を取り出す

遠隔教育の授業実践が蓄積されるようになると、さらに一歩進み、町の学校間で情報を共有して、より高い教育効果が期待できる活動を5つの視点で整理して取り組んだ。▼多様な考えで学び合う学習活動、▼コミュニケーション力育成を図る学習活動、▼専門家や専門施設を活かした学習活動、▼地域の良さや違いに着目した学習活動、▼協働で制作・評価する学習活動

これは、高森町においてとりかかりやすかった活動順である。その点も参考となりそうだ。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2019年8月5日号掲載

元気な小規模校を増やす!鹿児島大学大学院 山本朋弘准教授

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