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教育ICT

市内全小中で学校HPを統一して運用~長岡市教育委員会

2019年7月9日
特集:学校経営と学校マネジメント

同じ仕組みで校務も効率化

新潟県長岡市教育委員会(小学校55校、中学校27校、特別支援学校2校)では、2017年度より、市内全校で共通の学校ホームページ作成システムを導入し、運用を開始した。これにより、全校で学校ホームページ(以下、HP)の更新率が上がると同時に校務負担減にもつながるなど、様々なメリットが生まれている。導入の経緯と運用の工夫について、長岡市教育委員会学校教育課・長岡市教育センター・小岸正樹指導主事、教育総務課・相川良澄主査、同・丸山俊輔主任に聞いた。

丸山主任

丸山主任

相川主査

相川主査

小岸指導主事

小岸指導主事

セキュリティ面の安心も向上

導入の理由

新しいシステムによる学校HPの全校運用が決まったのは、2016年だ。それまでは学校により様式もシステムも更新頻度もバラバラで、公教育として、この状況を是正する必要があると考えた。標的型攻撃など、昨今の「高度サイバー攻撃」への対応も必要だ。しかし80校以上に対して個別に対応することはほぼ不可能だ。更新作業も一部の教員に業務が偏っており、引継ぎが難しい学校も多く、働き方改革の観点からも改善が必要だ。そこで、2016年春の情報担当者連絡会議で、学校HPのシステムを市内全校で統一すること、順次研修を開始することを周知するとともに、教育総務課と教育センターが連携し、100校程度の自治体規模で導入されている学校HPのシステムを中心に、情報を収集。その夏には入札を行い、中~大規模自治体に導入実績が多く、継続率も高い「スクールWebアシスト」(株式会社EDUCOM)の導入が決まった。

円滑な活用のための工夫

スムーズに学校HPを開設できるように、学校概要と連絡先などを記入するだけで開設できるひな型を用意して2017年1~3月、各学校に準備を依頼。ひな型の修正や活用などの検証を進め、HP公開手順などをまとめた独自の操作マニュアルやコールセンターも用意して、4月からの全校一斉稼働に備えた。導入時に、市内全校の担当者に向けた導入研修を実施。さらに担当者・希望者向けに、教育センターの研修に「ホームページ作成講座」を設けた。

画像編集も研修
複数の写真を1枚に編集して更新

複数の写真を1枚に編集して更新

それまでは各学校独自の体裁で学校HPを制作していたため、市教委として効果的な研修を企画することが難しかったが、市内全校に同じシステムを導入することで、効率的に進めることができるようになった。

画像編集の研修も実施。1度にアップできる写真の枚数には限りがあるが、同じ行事で何枚もアップしたい場合もある。そこで、複数の写真を組み合わせて1枚に加工できるようにした。この研修は好評で、他校から、どのように写真をアップしているのかを聞かれることもあるという。

地域に根差した活動を発信

導入の成果

シンプルな手順で更新率アップ
小中連携している学校のHP更新状況がわかる

小中連携している学校のHP更新状況がわかる

「スクールWebアシスト」の導入により、シンプルな手順で日々の様子や写真を誰でもHPにアップできるようになり、各校の更新頻度が上がった。長岡市では、本格運用を開始した2か月後の6月に運動会がある。HP更新の最初のヤマ場だが、使い方に困った時にはすぐにコールセンターに聞くこともでき、スムーズに更新できていたという。

ある中学校では、運動会当日の天候の影響に伴うプログラムの変更や、保護者へのお願いなどをタイムリーに掲載することができた。卒業式などの行事に向けた準備の様子もアップして、子供たちの様子を写真とともに伝えている。保健室や部活動、給食室など、カテゴリごとに記事を更新することもできる。このほか学校だよりや保健だより、給食だより、給食の献立をアップしている学校も多く、2017年度の各校のHP更新率は平均で1・6倍となった。中には1・8倍になった学校もある。

全小中学校のHPにリンクしておりカテゴリ別に表示できる

全小中学校のHPにリンクしておりカテゴリ別に表示できる

「これまで担当者頼みだった更新が、誰でもできるようになり、異動しても同じシステムを使っているので、引継ぎが不要になった」点は大きい。システムを統一することで、市教委でサポートできる部分も増えた。

セキュリティの面でも安心できる。何か不具合や危険が見つかったとしても、1回の対応で全校に反映でき、個別対応の必要がなくなった。

地域に根差す活動を地域に向けて発信

長岡市では、地域に根差した学校を目指しており、地域と連携した取組が多い。戦時中の話を地域の方から聞いて劇にする取組などを総合的な学習の時間で行っている学校もある。このほか花壇整備や会社訪問、地域の田んぼを借りて行う学校田作りなどの取組をHPですぐに発信すると、地域からも喜ばれるという。スマートフォンからもHPにアップできるため、校外学習先からの更新も可能だ。

保護者向けに、HPに各種証明書交付願をアップして、Webからダウンロードできるようにした。インフルエンザ等感染症にかかった際の「登校許可証明書」など、これまでは保護者が学校に取りに来ていたものだ。

市内の学校HPの更新情報を一覧

市内の学校の更新情報や更新頻度などが一覧できるポータルサイトも公開している。例えば、「遠足」「夏休み」「ICT」などのキーワードを設定すると、全校の記事からそれに関連した他の学校の記事を拾って、閲覧することもできる。

中学校区の小中で更新情報を共有

昨年度から、中学校区でHPを連携する取組を一部の地域で開始した。

その中学校に入学予定の小学校が連携し、お互いのHP更新情報を各学校HPで一覧できるので、保護者や児童が、入学予定の中学校の様子を知ることもできる。兄弟姉妹が中学校と小学校にいる場合も、双方の情報が一覧できる。

長岡市では、HP作成システムの導入・運用に次いで、現在、次年度からの校務支援システムの稼働についても準備中だ。これまで活用してきた校務支援システムの保守が終了したことから、新しいシステムの調達を進めている。コミュニケーションをさらに活性化する、学校評価の仕組みを円滑にするなど、教員の働き方改革につなげたいと考えているところだ。

教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2019年7月8日号掲載

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