京都大学は2014年から「KyotoUx」という名称のMOOC(Massive Open Online Courses)を世界に向けて提供している。
MOOCとは、ネット上で、無料で受講できる大規模なオープンオンライン講義だ。国内外にMOOCのプラットフォームが複数あるが、京都大学は、代表的なプラットフォームの1つである「edX(エデックス)」に加盟している。edXに加盟した理由は、主に次の4点だ。①MITやハーバードなど、世界のトップ大学連合の非営利組織が運営している。②プラットフォームと講義コンテンツのオープンソース化にもとづいている。③オンライン講義とキャンパスでの対面講義の相乗効果を活かすブレンディッド学習(Blended Learning)による教育改善を重視している。④edXによって収集されるオンライン学習データの分析と教育効果の検証を通じ、また加盟大学と協力し合いながら、京都大学の教育的研究開発の支援と推進が進められる。
京都大学は2005年から、OCW(Open Course Ware )で、ネットを通じて講義ビデオを、大学内外に配信してきた。MOOCによる「KyotoUx」は、それをよりパワーアップさせたものだ。
「KyotoUx」の講義は、すべて英語で行われる。現在は10講義を配信中で、実際の授業と同じように、課題も出される。採点が難しいレポートなどの記述式課題は、受講生同士による採点方法も取られている。修了条件を満たした受講生には、修了証を発行している。
英語による講義ということもあり、海外からの注目度が高い。受講生の属性について、酒井博之准教授(京都大学高等教育研究開発推進センター)は「『大学に所属中あるいは大学卒業』レベルの若い層を中心に、高校生から高年齢層まで幅広い年齢層の方が受講しており、どの講義とも100以上の国・地域から受講されています。国別では、いずれの講義もアメリカの受講者が最も多いようです」と話す。「これまで、京都大学が強みを持つ学問分野を中心に、講義を提供してきました。山極壽一総長や松沢哲郎特別教授の講義は、京大が発祥の霊長類学です。化学分野も比較的多く提供しています。今後も本学の強みを活かした、質の高い講義を配信していきたいと考えています」
(蓬田修一)
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2019年6月10日号掲載