情報科実践事例報告会2018が横浜市の岩崎学園情報科学専門学校で12月27日に開催。神奈川県内から約80名、県外から70名の教員が参加、9校から事例報告、22のポスター発表が行われ、熱のこもった発表が終日行われた。主催は神奈川県高等学校教科研究会情報部会。神奈川県教育委員会が共催した。
文部科学省教科調査官の鹿野利春氏は、2022年から授業が開始される必履修科目「情報Ⅰ」を「国民として必要な素養」、選択科目「情報Ⅱ」を「高度な問題の発見・解決に必要な素養」を学ぶ科目と定義。小中高等学校を通じた情報教育・プログラミング教育の系統的展開、問題発見・解決に向けた学習活動の中で統計の活用における情報科と数学科の連携、情報Ⅰ、情報Ⅱの内容や授業展開、評価方法の捉え方、情報セキュリティやデータベースといった専門教科情報科の12科目の概要について説明し、これらの授業にあたっては「自分の限界の中だけで授業を組み立てるのではなく、大学・企業とも連携して高度と思えることにも取り組んでほしい」と強調した。高等学校と小中学校の授業との接続については、教員自ら管理職などに働きかけて地域の中学校等の授業視察の場を得て、中学校の技術科でどんな授業が行われているか主体的に把握してほしいと語る。
情報科教員の採用拡大について、2024年から実施される大学入学共通テストへの情報科の採用検討が進むなか、「内容の高度化」「入試の実施」「行政対応」を推進すると語った。
二松学舎大学付属柏中学校・高等学校の阿部百合教諭は、社会的に公表されるデータをよりよく理解することを目的とし、数学で統計を扱う前に情報科で統計を学習させた。機械学習にも使用されるプログラミング言語Pythonで統計データを処理。授業の流れ、目的、評価基準をあらかじめ生徒に示し、ニュースを題材に班ごとに統計分析方法を考えさせた。
東京都立三鷹中等教育学校の能城茂雄教諭は、Youtubeに公開されているCMを選び、そのCMを参考に生徒自身で情報モラルの動画教材を作成する実践を報告。生徒は学校を舞台とした絵コンテを作成し、学校所有のビデオカメラまたはデジタルカメラの動画機能で三脚を使って撮影し約2か月間かけてCMを作成。生徒のスマートフォンは個人データが流出する恐れがあると考え使用していない。
川崎市立橘高等学校の布村覚教諭は、ブラウザ環境によるネットワーク実習について報告。
コマンドプロンプトやURLを入力してIPアドレスやポート、DNSを確認。HTMLでWebページを作成して表示を確認。さらに、ブラウザでデータベースにアクセスさせてコンテンツがデータベース上で管理されていることを理解させ、ID、パスワードが分かれば改ざんできることを確認できる実習を実施している。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2019年2月4日号掲載