つくば市では平成29年度から、21世紀型スキルと社会力を育む「7Cスタディ」に取り組んでいる。7Cとは「協働力、言語力、思考・批判力、プログラミング的思考、知識・理解力、創造力、市民性」だ。本取組は2018キッズデザイン賞で奨励賞(キッズデザイン協議会会長賞)を受賞(関連7面)。本年開校したつくば市立みどりの学園義務教育学校(毛利靖校長・茨城県)でも「7C」の育成に向け、ICTや思考ツールなどを取り入れて英語教育やプログラミング教育などに取り組んでいる。9月21日、文部科学省や総務省の教育政策担当者などが同校のICT活用や各教科におけるプログラミング教育の取組を視察した。新校舎には各教室に大型提示装置があり、タブレットPCや無線LAN、各教科の指導者用デジタル教科書、協働学習支援ソフトも整備されている
4年つくばスタイル科では、グループで協働してロボットカーをプログラミング。スタートからゴールまで無事にたどり着くタイムトライアルに挑戦した。何度も繰り返しながらプログラミングを修正。最も速く課題を達成したグループは手を取り合って大喜び。中学校技術科の教員がサポートしていた。
6年理科「月と太陽」で児童は、マイコンボード「micro:bit」を月や太陽に向けると高さや角度、方角が分かる「計測器」作りに取り組んだ。方位を磁気センサー、高さを加速度センサーで計測するプログラミングに挑戦した。
3年音楽「お囃子をつくろう」では、Scratchを使ってオリジナルのお囃子を作曲。
ひのき学級では8年生がScratchを使った的当てに挑戦。「割合」の学習内容を使いながら、「風船」の座標を考慮して「光線」が命中する傾きをプログラミング。数値を入れ替えて何度か試し、風船に命中させた。
1年生はPC教室で、つくば教育クラウド「チャレンジングスタディ」を使って足し算や引き算などの算数ドリルに取り組んでいた。個別学習だが、隣の友達の進捗具合も気になるようだ。
5年国語「古典」学習では「枕草子」のテキストを1人1台の情報端末を使って、句読点が打てる所に区切り線を入れていた。教員は、学習支援ツールスタディネットで全員の情報端末画面を大型提示装置に一斉提示して児童の思考を可視化した。
7年社会「世界の国」では指導者用デジタル教科書を活用。
地理の教科書に掲載されている世界の国の人々の写真を各グループにつき1枚担当し、その写真を見てわかることについて、グループで話し合ったことを全体に発表。食事のシーンを担当したグループは大型提示装置にデジタル教科書を使って担当した写真を提示しながら、食器の形の特徴や食事の内容などを説明していた。
つくば市は今年6月、「SDGs(持続可能な開発目標)未来都市」に選定され、2020年度までの3年間、「未来都市」として持続可能なまちづくりのための取組を推進している。
科学クラブの生徒たちは「SDGs」をテーマに食物連鎖を再現するゲームをプログラミング。その内容について、世界に発信することを視野に、英語によるプレゼンテーションを練習している。
ゲームは、「植物は虫に触れると食べられる」「秋になると植物が増える」「冬になると動物は冬眠する」「卵がかえる」などを動物の雄雌、虫の雄雌、植物それぞれに季節の移り変わりに応じて設定。
動物や虫には満腹値も設定。50%以下になると活動量が減り、0%になると停止する。
今後は現実の食物連鎖をテーマにしたゲームとして制作したいと考えている。
教育家庭新聞 教育マルチメディア号 2018年10月1日号掲載